トライアスリートは、プロテイン、アミノ酸、糖質といった成分は積極的に摂取していますが意外と見落としがちなのがビタミンの摂取。特にトライアスロンのような持久系スポーツでは不足しがちになってしまうので、ビタミンを効率よく摂取しなければなりません。そこで今回は、トライアスロンとビタミンとの関係性について紹介していきたいと思います。
一言でビタミンといってもビタミンはAからEとKの6種類に分けられ、さらにビタミンBは、B1からB12にまで分類されるなどとても種類が多いことで知られています。それぞれ違う性質を持つため、人体における役割も異なります。トライアスリートにとって重要となるのは、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンEの3種類がメイン。ではこれらのビタミンがどのような役割を果たしているのか確認していきましょう。
まずビタミンBですが、最も欠かせないのがビタミンB1です。ビタミンB1は、運動をする上で主要なエネルギー源となる糖質をエネルギーに変換するために重要な役割を果たします。そのため、このビタミンB1が不足してしまうと糖質のエネルギー変換が上手くいかず、疲れやすくなってしまったり、神経系や腱反射の異常、最大酸素摂取量の低下などの危険性があります。
次にビタミンB2。有酸素運動を行うのに必要な脂質の代謝に大きく関わっているのがこのビタミンB2です。脂質の代謝は、皮膚の再生や皮脂の分泌調整などに関与しているため、ビタミンB2が不足してしまうと、再生される細胞の質が悪くなってしまい、炎症を起こしやすくなってしまうことなどが考えられます。
筋肉の成長に欠かせないビタミンとして知られるのが、ビタミンB6です。筋肉の合成が多く行われている時やたんぱく質の摂取量が多くなってしまうと、このビタミンB6が大量に必要となります。筋肉を再生する際、たんぱく質の構成要素として知られるアミノ酸を最適な形に変換する役割を担っています。
たんぱく質の代謝における補酵素としての働きを持ち、核酸代謝や血をつくる役割を持つビタミンB12も重要。一般的な食事をとっているトライアスリートであれば問題ありませんが、菜食主義者のように偏った食事をしていると不足してしまい、悪性貧血を引き起こす原因となってしまうので注意が必要です。
抗酸化物質であるビタミンCは、免疫力を強くしたり、風邪の予防になるほか、活性酸素の除去にも役立つため、たくさんのエネルギーを生み出すトライアスリートには、欠かすことができないビタミンの1つです。また、暑さへの順応力を高めたり、コラーゲンの合成に関わるため軟骨や靭帯といった間接周りを強化する役割があるとも言われています。
ではこのビタミンCはどのような食材に含まれているのでしょうか。一般的なのは、レモンをはじめとする柑橘系ですが、もちろん、それ以外の食材にもビタミンCは含まれています。野菜であれば、パプリカ、芽キャベツ、菜の花、ゴーヤー、ピーマン、ブロッコリー、モロヘイヤ、カブの葉、カリフラワー、豆苗など。果物だとキウイ、柿、イチゴ、オレンジ、ドライマンゴーなどが挙げられます。この他だと、ジャガイモやサツマイモにも多く含まれており、これらのいも類はデンプンによってビタミンCが守られているため、加熱しても損なわれないのがポイントです。
次にビタミンCの摂取量についてですが、食事から摂取する目安となるのが1日あたり100mg。いちごで例えると中型サイズのものを10粒程度となります。どれだけご飯を食べすぎてしまっても、1000mgを超えるようなことはないので安心してください。これに加えて、サプリメントで摂取する場合は、500~1000mg程度。一度に摂取するのではなく、小分けにして体内に入れた方が吸収率が上がるので効果的です。
ただし、注意しなければならないのは、大量の糖分で加工されているものと一緒に摂取しないこと。糖分が多すぎてしまうと、ビタミンCが細胞に吸収されるのを妨げてしまうためです。中でも、ビタミンC飲料と呼ばれる甘いドリンク類には気を付けましょう。
ビタミンEは、脂に溶ける脂溶性ビタミンの一種として知られ、主な効果としては、脂肪の酸化防止や生体機能調節、血行の促進などが挙げられます。中でも酸化防止作用は、生活習慣病の予防や老化防止が期待されており、「若返りのビタミン」としても注目されているビタミンです。
ビタミンEが不足してしまうと、老化やしみ、動脈硬化の原因となるほか、生理障害や更年期障害が起こりやすくなってしまいます。ですが、あまり過剰に摂取しすぎてしまうと出血の恐れがあるので注意が必要です。
適切なビタミンEの摂取量は成人男性が6.5mg、成人女性が6.0mgを目安にすると良いでしょう。
ビタミンEを多く含む食材としては、アーモンドやひまわり油、うなぎ、たらこ、アボカドなどが有名です。
ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収を促し、骨組織やカルシウムの代謝に大きな影響を与えます。最近では、適度なビタミンD血中濃度が、損傷後の骨格や筋肉の再生に重要であることや、神経などの運動機能向上に役立つのではないかと注目されています。
ビタミンKは、カルシウムの代謝に大きく関わっており、血液凝固の活性化や骨や歯の形成に影響を与えることが分かっています。このビタミンKは、腸内にある細菌から合成されるため、普段の生活をしておけば不足することはほとんどありません。
ビタミンAは、明暗や色の識別に関係するロドプシンの合成に関わっています。これ以外にも、成長促進や粘膜形成に関与しており、不足してしまうと夜盲症や結膜炎、細菌感染に対する抵抗力の低下などが考えられます。
ビタミンのサプリメントを摂取する時は、水やぬるま湯で飲むのが基本ですが、ジュースでも問題ありません。ただし、コーヒーやお茶、紅茶などに含まれるカフェインやタンニンには、吸収を妨げる可能性があるので注意が必要です。サプリメントを飲むタイミングとしては、食後がベスト。もし忘れてしまいそうであれば、食事の最中に服用しても構いません。ビタミンAやEは脂溶性ビタミンなので、吸収率を上げるため脂質のある食事とともに取り、ビタミンCなどの水溶性ビタミンは、摂取してから2~3時間ほどで体外に排出されてしまうので、一度に服用するのではなく、何度かに分けて摂取するのがおすすめです。
容量は必ず守ることが重要。例えばビタミンAを過剰に摂取してしまうと頭痛や食欲不振、ビタミンCだと腎臓結石のリスク向上、ビタミンEは寿命が短くなってしまうというデータがあります。
ビタミンについて紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?中には、トライアスリートには欠かせない種類のビタミンもあったはずです。自分の食生活や練習スタイルなどと相談しながら、過剰摂取にならないように、しっかりとビタミンを摂取するように心がけましょう。
▼【HMB体験】体脂肪最大マイナス5.1%筋肉量2.7㎏アップを達成!