運動をしている人の中で最近、話題になっている体のケア方法の1つとして、筋膜リリースというのがあります。この言葉を耳にしたことがある人はいても、具体的にどのようにしてやるのか、どのような効果があるのかなど、分からないことが多いという人もいるのではないでしょうか?そこで今回は、この筋膜リリースについて紹介していきます。興味がある人は参考にしてみてください。
まず筋膜について見ていきましょう。筋膜とは、簡単にいうと1つひとつの筋肉を包んでいる膜のことで、人間の体全体に張り巡らされています。筋繊維や器官、神経といったものとも連結しており、三次元的に全身を覆っており、第二の骨格と呼ばれることも。
筋膜は連続した層になっていて、浅筋膜(せんきんまく)、深筋膜(しんきんまく)、筋外膜(きんがいまく)、筋周膜(きんしゅうまく)、筋内膜(きんないまく)などの種類があります。体にある筋組織は、お互いに滑り合うように動いており、この滑りをサポートしたり、筋肉を保護したりする作用が筋膜には備えられています。
左右非対称な姿勢や動作をとり続けていたり、同じ姿勢を長時間とり続けていたり、怪我などによって身体の一部に集中的に負担がかかってしまうと、一部の筋膜が自由に動けない状態になってしまうことがあります。すると筋膜のねじれが生じてしまい、筋膜と皮膚や筋肉との間の滑らかな滑りが失われてしまうことも。そうなると、コラーゲン繊維やエラスチン繊維といった繊維が一部に集中してしまい、本来はサラサラの状態である筋膜が粘っこくなってほどけなくなってしまうのです。
筋膜は全身につながっているため、一部の筋膜が粘っこくなってしまうと他の筋膜や繊維に悪影響を及ぼしてしまいます。これにより筋肉の痛みや筋力の低下、柔軟性の低下、運動パフォーマンスの低下、日常生活活動の低下につながるのです。
このようなことになってしまわないため、筋膜のねじれを解消し、筋膜や筋肉の動きを正常に戻すのが筋膜リリースです。
先ほど、説明したように筋膜を構成するコラーゲン線維とエラスチン線維は、悪い姿勢や長時間の同じ姿勢を続けることで、一部に集まってしまい、交差してねじれが生じてしまうことがあります。体をゆっくりと動かすことで、筋膜のねじれを解きほぐすことが可能。これにより、筋肉や筋繊維を包む筋内膜に柔らかさと弾性が復活し、本来、備わっていた筋力が発揮できるようになり、正しく動ける体へリカバリーすることができます。
筋膜リリースを行うことでコリや痛みが少なくなってきたら、筋膜がきちんと剥がれている証拠。これを継続して続けることにより、筋力のアップはもちろん、柔軟性が向上したり、運動のパフォーマンス全体が上がることも期待できます。さらに、コリが起きにくい体を手に入れることも可能です。
家の中で簡単に筋膜リリースをするためのアイテムを紹介していきます。
最もポピュラーなのがフォームローラー。カーペットの上にある小さなゴミなどを貼り付けて掃除する、コロコロのような円柱型をしているのが特徴です。丸みのある部分に無数の凹凸があり、体の気になる部分をあてて床をゴロゴロと動かすことで筋膜にアプローチすることができます。
フォームローラーの大きさですが、15×30cmのサイズが一般的。ほとんどがこのサイズとなっているので、間違えることはほとんどありません。持ち運びにもこれぐらいの大きさが便利なので、あまり大きなものを選ばないようにしましょう。
筋膜リリースは、痛みを感じない程度に行うのがうまくやるコツなので、体にあてる部分の素材選びも重要なポイントです。初心者の人はある程度のクッション性があるウレタン素材やポリエチレン素材のものが最適。慣れてきて、もう少し刺激を与えたいと感じるようになってきたら硬質PVCやEVAなど硬めの素材のものを選ぶようにしましょう。また、凹凸もはじめのうちはそれほど段差のないものにした方が良いかもしれません。
筋膜のねじれがそれほど深刻ではない場合は、ストレッチのように道具を使わずに筋膜リリースをすることができます。具体的な方法はいろいろなページで紹介されているので参考にするとよいでしょう。
フォームローラーを使った筋膜リリースは、フォームローラーを床やマットの上に置き、筋膜をほぐしたいところをフォームローラーにあててゴロゴロとさせます。ほぐす場所によって手でサポートしてやったりほぐしやすい姿勢が異なるので、ネットで調べたりスポーツクラブなどに行って聞いてみるのもおすすめです。
いかがだったでしょうか?筋膜リリースをすることで体の調子を整えることができます。コリや痛みで悩んでいる人は、試しにやってみてくださいね。