2024年7月26日から8月11日の17日間、フランス・パリにて第33回となる夏季オリンピックが開催されました。大会では32競技329種目が行われ、その中の1つがトライアスロン競技です。この記事では、パリ2024オリンピックに関する情報を紹介します。大会のレビューや結果についてもまとめていますので、ぜひご覧ください。
画像引用元:
(https://olympics.com/ja/paris-2024/sports/triathlon)
トライアスロンがオリンピックの公式競技として採用されたのは2000年のシドニー大会で、今回のパリ大会で7回目の開催となります。
トライアスロン競技の世界ランキングでは、近年男女ともにヨーロッパ諸国が上位を占めており、特にフランスの選手層が非常に厚い状況です。
また、混合リレーは東京大会から正式に採用された競技で、初代王者はイギリス。
パリ2024オリンピックでは、このイギリスに加え、フランス、ドイツ、ベルギーなどがメダル候補として挙げられていました。
さらに、混合リレーは「スーパースプリント」とも呼ばれる短距離トライアスロンで、選手が次々に交代しながら競技を進めます。4人の選手によるリレーは、約1時間12〜15分でメダルが争われる展開が見どころです。
パリ2024オリンピックのトライアスロン競技は、「スイム1,500m/バイク40km/ラン10km」を続けて行い、合計タイムで順位が争われました。
ちなみに、2023年に同じコースでテストイベントが行われていますが、その際は男子トップが約1時間41分でゴール、女子のトップが約1時間51分でゴールしています。
さらに、今回は混合リレーも採用されており、男女各2名、合計4名のチームによってレースが行われました。それぞれの選手が「スイム300m/バイク5.8km/ラン1.8km」を1人で行い、次の選手にハイタッチで繋ぐ形でレースが進んでいきます。
パリ大会では「女子→男子→女子→男子」の順番でリレーが行われましたが、東京大会の時とは逆の出走順。スイムとランは同じ距離ですが、バイクの距離が短くなりました(東京大会のバイクは6.8km)。
また、当初の大会日程は下記の通り。
パリ2024オリンピックのトライアスロン競技には男子55名、女子51名が出場。 日本は男子が2枠、女子が1枠を獲得していますが、女子の2枠目の獲得が叶わなかったことから、リレーの出場枠を逃しています。
続いて、コースについて見てみましょう。
レースは、エッフェル塔を望むアレクサンドル3世橋を発着点として設定。
この橋はセーヌ川に架かる美しい橋で、下にはポンツーン(浮桟橋)が設置されています。選手たちはこのポンツーンからセーヌ川に飛び込んでスタートしました。
画像引用元:
(https://olympics.com/ja/paris-2024/venues/pont-alexandre-iii)
セーヌ川でのスイムが終了すると、選手たちはアレクサンドル3世橋の上に設定されたトランジションエリアでバイクに切り替えます。バイクとランのコースは、凱旋門やシャンゼリゼ通り、ナポレオンが眠るアンバリッド(廃兵院)など、パリの中心部を巡るルートが設定されていました。
今回のバイクコースは基本的に平坦ですが、石畳が含まれており、技術が求められる難しいコースでした。バイクに強い選手は、石畳を利用して攻める場面も予想されていました。
ゴールは発着点であるアレクサンドル3世橋の上に設置されたゴールゲートで、個人競技・混合リレーともにこの地点でフィナーレを迎えます。
トライアスロン競技は当初、男子レースが7月30日に予定されていましたが、水質の問題で延期され、男女ともに翌日の31日に実施されました。男子では50人、女子では51人が完走しています。
男子トライアスロンの結果は、イギリスのアレックス・イー選手が1時間43分33秒で金メダルを獲得。銀メダルはニュージーランドのヘイデン・ウィルデ選手(1時間43分39秒)、銅メダルはフランスのレオ・ベルジェール選手(1時間43分43秒)が獲得しました。
女子トライアスロンは、フランスのカサンドレ・ボーグラン選手が1時間54分55秒で金メダルを獲得。銀メダルはスイスのジュリー・デロン選手(1時間55分01秒)、銅メダルはイギリスのベス・ポッター選手(1時間55分10秒)でした。
また、混合リレーは8月5日に開催され、ドイツが金メダルを獲得。銀メダルはアメリカ合衆国、銅メダルはイギリスが獲得しました。
まず、先に行われた女子個人のレースについて。
スイムでは、セーヌ川特有の強い流れがありましたが、先頭の選手たちは巧みにコースを取っていました。多少大回りになっても、流れの影響を最小限に抑えるルートを選んでいた印象です。
続く7周回のバイクコースは、石畳に加えコーナーが多い上に、未明からの雨で路面が濡れており、落車が相次ぎました。そして最後のランでは、序盤で4人が抜け出し、ハイスピードな牽制が続く中、フランスのカサンドレ・ボーグラン選手が最後に仕掛けて2位以下を突き放し、自国開催のオリンピックで金メダルを手にしました。
一方、男子個人のレースは、女子とは対照的に青空の下でスタート。
スイム終了時点では、有力選手が約1分の中にひしめき合う混戦状態でした。バイクの序盤で6人が一時的に抜け出しましたが、すぐに吸収され、最終的には30人以上の大きな集団が形成されました。
最後のランでは、イギリスのアレックス・イー選手がラスト付近で猛烈なスパートをかけ、逆転で金メダルを獲得しました。
日本はトライアスロンが正式にオリンピック競技として採用された2000年のシドニー大会以来、男女ともに出場を続けています。男子の過去最高順位は、2004年のアテネ大会で田山寛豪選手が記録した13位、女子の過去最高順位は、2008年の北京大会で井出樹里選手が達成した5位入賞です。
日本選手は2010年から2023年までの期間、アジア大会において男女個人および混合リレーで優秀な成績を収め、長年にわたりアジアのトライアスロン競技をリードしてきました。
今回の大会には、男子個人で注目を集めるニナー賢治選手と、激しい代表争いを経て2枠目を獲得した小田倉真選手が出場。その結果、ニナー選手は15位(1時間45分02秒)、小田倉選手は41位(1時間50分15秒)となりました。
開会式にも使用されたセーヌ川。パリ市の中心を流れる歴史的な川で、映画やドラマのロケ地としても知られていますが、その水質問題が大きな話題に。
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(https://www.photo-ac.com/)
このセーヌ川、長年水質悪化により約100年間、遊泳が禁止されていました。
しかし、オリンピックに向けてトライアスロンを含むいくつかの競技が行われることになり、フランス政府は約2,300億円を投じて水質改善に取り組みました。パリ市長も自ら泳ぐ姿を見せるなど、水質改善をアピールしていました。
しかし、大会期間中は雨が続き、男子トライアスロンのレースが水質悪化のために延期。翌日には水質が改善されたとして、女子レースと同日に男子レースが実施されました。
レース後、海外メディアは一部の選手が体調不良を訴えたと報じ、大きな注目を集めましたが、水質が原因かどうかは明確ではありませんでした。一方で、選手の中には「水質は気にならなかったが、セーヌ川の流れが非常に急だった」とのコメントも。
また、最終日の8月11日には、セーヌ川に接続するサン・マルタン運河で遊泳イベントが開催され、多くの人々がその場を楽しんだとのことです。
以上、パリ2024オリンピックのトライアスロン競技について紹介してきました。
水質問題が多くのメディアで大きく取り上げられた一方で、当日はレベルの高いレースが展開。
当日は、セーヌ川にかかるアレクサンドル3世橋には約1,000席の観客席が設けられていました。この観客席にはチケットが必要でしたが、それ以外の場所では無料で選手を応援することができ、沿道には多くの観客が詰めかけるほどの大盛況。
このように、選手に近い距離からレースを観戦できた点も、今大会の魅力の一つだったのではないでしょうか。