「ローラー」とは、「サイクルトレーナー」とも呼ばれるもので、室内でのトレーニングなどに用いられるものです(レース前のウォーミングアップにも使用されます)。自転車を静止させた状態で、タイヤを樹脂でできたローラーに当てて回すことができるため、実際にロードバイクに乗っているような感覚でトレーニングが可能です。 現在、さまざまなメーカーからローラーが販売されていますので、どのようなものがあるのかをご紹介していきます。
ローラーの種類は、大きく分けて「固定ローラ」「3本ローラー」「ダイレクトドライブ式」「ハイブリット式」の4種類があります。それぞれの種類にメリット・デメリットがありますので、自分に合ったローラーはどのタイプか確認してみると良いでしょう。
「固定ローラー」とは、その名の通りロードバイクを固定して使うローラーのことです。固定する際には、ホイールに取り付けられているクイックリリースレバーを使用します(写真は「ミノウラ MAGRIDE-Q サイクルトレーナー」)。
後輪がローラーに固定されているため、乗っているときにバランスを崩して転倒することがありません。そのため、初心者で室内トレーニングをしたい人には最も向いているタイプといえるでしょう。トレーニング時は負荷をかけることができますので、しっかりと筋肉を鍛えることができる点もメリットです。
また、使用後には小さく折りたたむことができますので、収納面でもメリットがありますし、室内で使うことで「音」が気になる人向けに、静音性に優れたタイプも販売されています。
バランスを取る必要がないため転倒の心配がない反面、「ただ漕ぎ続けている」という状態に陥りやすく、飽きやすいのが難点です。トレーニングを長期間続けるためには、動画を見たり、音楽をかけるなど何か工夫が必要でしょう。
また、負荷装置にタイヤを押し付けながら使うことになるため、タイヤが摩耗しやすいというデメリットもありますので、頻繁に使用するのであればローラーを使ったトレーニング用のタイヤを用意するなど対策を考える必要があります。
最も古くから使われてきたタイプのローラー台。前輪と後輪のどちらも固定せずにペダリングをします。このローラーは自由に動くため、うまくバランスを取りながらまっすぐ走り続けることでトレーニングを行います(写真はELITE(エリート) ARION(アリオン) 3本ローラー)。
ローラーが自由に回転するため、タイヤの摩耗が少ない点がメリットです。また、普段乗っているロードバイクのまま3本ローラーに乗ってトレーニングができるため、専用のタイヤやカセットスプロケットなどを別途用意する必要もなく、コスト面でもメリットがあるといえるでしょう。
さらに、バランスを取りながらペダリングを続ける必要があるために実際にロードバイクに乗っているような感覚でトレーニングが可能なので、飽きにくいというメリットもあります。
常にバランスを取りながらペダリングをし続けなければ転倒してしまうため、あまり初心者向きとは言えません。そのため、中級者以上に向いているローラー台となっています。
また、固定ローラー台と比べて静音性は低いので、騒音が気になる場合にはあまりおすすめではないといえるでしょう(イメージとしては掃除機と同じくらいの音がする、といわれています)。夜にトレーニングをしたい場合には、他の種類のローラー台を検討したほうが良いかもしれません。
ダイレクトドライブ式のローラーは、固定ローラーの一つですが、リアホイールが不要のタイプです。使用するときにはロードバイクの後輪を外してローラーに取り付けるだけなので非常に手軽に使えます。高性能のものが多いのが特徴で、スマートフォンで操作が可能なものもあります(写真は「Kinetic R1 ダイレクトドライブ スマートトレーナー」)
タイヤやリムに何も押し付けずにトレーニングすることができるため、タイヤの摩耗や音が少ないという点がメリット。静音性は4種類のローラーの中で最も高いといえるでしょう。また、タイヤの摩耗もないため、別途トレーニング用のタイヤを用意する必要もありません。
加えて、トレーニング時の負荷も自然なので実際に走る感覚に近い状態でペダリングが可能。かなり強い負荷まで書けられるので、本格的なトレーニングをしたい人でも利用できるでしょう。
高性能なものが多いため、他のローラー台よりも高価なものが多い傾向があります。また、本体が重いこと、収納性があまり優れていない点がデメリット。そのため、部屋の中にローラー台を置くための専用スペースを設けられる人に向いているといえるのではないでしょうか。
最後に紹介する「ハイブリット式」は、すでに紹介している「固定ローラー」と「3本ローラー」を組み合わせたようなものです。前輪を外してローラー台に固定して使います。後輪は3本ローラーに乗っている時のように自由に動くため、ある程度「まっすぐに走る」ことを意識しながらトレーニングを行う必要があります(写真は「MINOURA(ミノウラ) FG220 ハイブリッドローラー」)。
前輪のみ固定されており後輪は固定されないため、転倒の心配はないものの実際に走っているような感覚が強い点がメリット。3本ローラーと同様、飽きずにトレーニングできるでしょう。
また、本体は軽いものが多くコンパクトであるために収納には困りませんし、部屋の中だけではなく外に持ち出すことも用意。例えばレースに出場する前のウォーミングアップにも使うことができるでしょう。
ある程度のトレーニングができるものの、固定ローラーよりはトレーニングの強度が低いという点がデメリット。また、3本ローラーの特徴も兼ね備えているため、ペダリングの練習も可能ですが、やはり効率的にペダリングの練習がしたいということであれば3本ローラーの方が向いているといえます。
この記事では、室内でロードバイクのトレーニングをしたいときに役立つ「ローラー」について紹介してきました。さまざまな種類のものが販売されていますので、自分のレベルや練習の目的に照らし合わせて選んでみると良いでしょう。ぜひこれぞという一台を選んで、冬の間のトレーニングに役立ててください。