2019年の12月、スイス発祥の有名シューズブランドとして知られる「On (オン)」の開発・マーケティングチームに、ツアー通算歴代最多111勝を誇るプロテニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラーが加わることが発表されました。
2010年に創業したばかりで歴史がそれほどない会社でありながら、「シューズ界のアップル」や「シューズ界のダイソン」と称される新進気鋭のシューズブランドと、現在も現役として活躍しているトップテニスプレイヤーの関係性について紹介していきます。興味がある人は参考にしてみてください。
オンは、元トライアスロン選手のオリヴィエ・ベルンハルドと、スイス人エンジニアのディビット・アレマン、キャスパー・コペッティの3人が2010年にスイスで立ち上げたシューズブランド。創業前の2005年頃からクッション性に優れ、かつ効率的に走れるようなランニングシューズの開発に取り組み、2010年の1月に会社を設立しました。すると翌月に開催された世界的に有名なスポーツ展示会「ISPO」において、「On」のファーストモデルが「ブランニューアワード」を受賞。これがきっかけとなって脚光を浴び、プロのマラソン選手やトライアスリートらがオンのランニングシューズに注目するようになりました。
その名が世界的に知れ渡ったのは、2010年の4月。世界的に有名な伝統的マラソン選手、テグラ・ロルーペがオンのランニングシューズを試験的に使用しました。その結果、彼はオンのランニングシューズに惚れ込み、熱狂的なアンバサダーとなったのです。
2011年6月には、世界18か国でオンのランニングシューズが販売開始。翌2012年の1月には、「クラウドスター」という名のランニングシューズを新たに発売開始しました。2012年3月には、スイス人のトライアスリート、キャロライン・ステファンが競技用モデル「クラウドレーサー」の試作品を着用し、トライアスロンのレースに出場。アイアンマン世界新記録まで、残り55秒に迫る好成績を残しました。この結果を受けて、オンでは競技用モデル「クラウドレーサー」の発売を開始することになります。
2012年8月、フランス人のトライアスリート、デビッド・ハウスが、ロンドンオリンピックの競技種目「トライアスロン」に出場。オンのランニングシューズ着用を着用した結果、ランで3位、総合順位で4位の結果を残したのです。さらに、同年9月には、自転車ロードレースのチーム、オメガファーマ・クイックステップが、UCIワールドチャンピオンシップの表彰台にて、オンのランニングシューズを着用。会社設立からわずか2年という短期間で、オンというランニングシューズブランドの価値を見事に証明してしまいました。
2020年現在、50か国以上の国の6000店以上の店舗で販売されるブランドにまで成長しました。
オンのランニングシューズの特徴は、「クラウド」と呼ばれるソールのラバー製パーツです。ランニングをする際に垂直方向だけでなく、水平方向の衝撃も吸収。そのため、他のランニングシューズでは味わえない驚異的なクッション性を実現しています。さらに、その衝撃を吸収するだけでなく、反発力を利用して、力強い走りをサポートしてくれるのです。
その履き心地は、まるで裸足で走っているかのような自然な履き心地で、一般的なランニングシューズとオンのランニングシューズを比較したところ、足の着地時の太ももから足首にかけてかかる衝撃の強さが全く違うことが分かりました。
以前からオンの愛用者だったフェデラー。創業者であるオリヴィエ・ベルンハルドらと会話をする中で、「スイス出身ということ以外にも多くの共通点があることに気づいた」と語っています。一方、オリヴィエ・ベルンハルドも「長年、オンを愛用しているトップアスリート。友好が深まるにつれ、テニスコート外でも優れたリーダーであり、新たなことに挑戦する起業家精神をもっていることを知った。フェデラーがチームメンバーとなることで、とてつもない化学反応が起こると確信している」と話しています。
また、スポンサー契約の内容にも注目が集まっています。一般的なスポンサー契約ではなく、今後、ブランドの成長にどれだけ貢献出来たかによって報酬が支払われるという特殊な契約となっているのです。
2020年の東京オリンピックにも出場する可能性のあるフェデラーですが、オンの製品にはテニスシューズがないのが現状となっています。これについては「テニスシューズに関しては、まだオンと一度も話したことがないから正直、何もわからない。オリンピックまでに形になるシューズが出来るかもしれないし、出来ないかもしれない」と話したそうです。
いかがだったでしょうか?国内の店舗でも販売されている店舗が徐々に増加しているほか、オンラインショップでも購入することができます。興味がある人は、履いてトライアスロンのレースに出場してみてくださいね。