ここでは、ロードバイクのタイヤの太さについて、基本的な知識を解説します。
かつて「タイヤは細ければ細いほど良い」と考えられていた時代もありましたが、現在では25Cなどの太めが主流。さらにワイド化した28Cも一般的になってきました。
初心者が頭の中だけでイメージする限り、タイヤが太くなると走りが重くなったりライダーのエネルギー消費が大きくなったりしそうですが、実際にはどうなのでしょうか?
ここでは、細めのタイヤに対する太めのタイヤのメリット、太めのタイヤにおける初心者の素朴な疑問などについてご紹介します。
以前よりも太めのタイヤが好まれるようになってきた理由は、単に「カッコいいから」とか「なんとなく」というものではありません。明確なメリットがあるからこそ、太めのタイヤが好まれるようになりました。太めのタイヤが主流となった背景にある主なメリットについて、2つほど見てみましょう。
細めのタイヤに比べると、太めのタイヤのほうが、いわゆる「転がり抵抗」が少なくなります。同じ条件下で同じ距離を走る場合、この「転がり抵抗」が少なければ少ないほど、ローディー(ロードバイクに乗る人)の体力消耗度は少なくなります。
細いタイヤであれ太いタイヤであれ、タイヤと路面の接地面の面積は同じです。これを前提に、自転車に乗った際のタイヤと路面の接地面の「形」をイメージしてみてください。
細いタイヤの場合、接地面の「形」は、細長くなることがイメージできるでしょうか?それに対して太いタイヤの場合、接地面の「形」は、太くて短くなることがイメージできますか?
この接地面の「形」が長ければ長いほど、ライダーにおけるエネルギー消費量は多くなります。つまり、細いタイヤであればあるほどライダーは疲れる、ということになります。タイヤに対する路面の抵抗が大きくなることが理由ですが、この抵抗のことを「転がり抵抗」と言います。
細いタイヤに比べ、太いタイヤのほうが空気量は多くなります。空気量が多い分、振動吸収性も高まることから乗り心地が向上。併せて、路面に対するタイヤの接地面がヨコに広がることから横剛性が高まり、コーナリングの際の安定感が増します。
自転車乗りの中には、最近のタイヤが太くなってきた最大の理由は、このコーナリングの安定性(=安全性)にある、と語る人も少なくありません。
細いタイヤよりも太いタイヤが主流となっている昨今ですが、初心者の中には、その傾向に対して素朴な疑問を抱く人もいることでしょう。
かつて主流だった23Cのタイヤに比べ、最近の主流である25Cのタイヤのほうが、タイヤ自体の重量やその他の部品の重量が大きくなります。よって、その分の重量が増すことは事実です。
しかしながら両者の重量の違いは10~20gほどと、ごくわずか。「転がり抵抗」の改善を含めて総合的に勘案すれば、25Cのメリットのほうが大きいと判断されます。
23Cより25Cが良いならば、さらに太めの28C、32C、35Cなどのほうがいいのでは?と考えた人もいることでしょう。
しかしながら、ロードバイクのタイヤは太ければ太いほど良い、というものではありません。なぜならば、タイヤの太さごとにおける最大空気圧の違いがあるからです。
空気圧が高ければ高いほど自転車の走りは軽くなり、逆に低ければ低いほど自転車の走りは重くなります。これを前提に、タイヤの太さごとの空気圧を見てみましょう。
23Cと25Cは同じ8気圧を入れることができるので、「転がり抵抗」を考慮すれば25Cのほうが有利と判断できます。一方で28C以上では空気圧が小さくなるため、自転車の走りが重くなります。
以上の理由により、現状では25Cがロードバイクで最適なタイヤの太さと考えられています。
以上、ロードバイクにおけるタイヤの太さについて、最近の傾向をご紹介しました。
かつては、タイヤは細ければ細いほど、また空気圧は高ければ高いほど走りが軽くなって良い、と考えられていました。ところが最近では、かならずしもそうではないことが分かってきました。総合的に勘案すれば、現状は25Cがもっとも有利な太さと考えられています。
ただし、どんな太さがもっとも有利かは、路面やコースの状況により異なります。また乗る人の感覚によって異なります。25Cを基本に置きつつも、乗る目的や乗り心地など、ご自身の考えや感覚も大切にして最適なタイヤを選んでいくようにしたいものです。