トライアスロンにトライするなら、バイク中の怪我についてしっかり知っておくべき。リスクをしっかり押さえて、安全にトライアスロンを楽しみましょう。
2015年7月、芸能人トライアスリートのバイク落下事故が話題になりました。有名人の事故として大きく報道されたため、「トライアスロンは危険なスポーツだ」と誤った認識が流布されることに。御本人は「自分の不注意から起こった事故。トライアスロンが危険なわけではない。誤解を与えてしまい申し訳ない」とコメントされました。 どんなスポーツも、準備や集中力に欠けた状態でトライするのは危険。「慣れているから大丈夫」といった驕りが、大なり小なりの怪我を招くのは当たり前でしょう。 注意を怠らずに臨めば、トライアスロンはとても楽しいスポーツです。
レース中にはどんな怪我が起こるのか、原因ごとにまとめました。
スイムで冷えた身体が思うように動かないことが、怪我の原因のひとつです。
スタート時点では適温と感じることもあるスイム。沖合に向かうにつれて海水に体温を奪われ、陸に上がった時点で身体は冷え切った状態になります。次のバイクに備えて身体を温める時間はありません。トランジットタイムを縮めるために、すぐさまバイクで駆け出す人がほとんどです。慣れているはずなのに転んでしまいます。
身体が冷えている状態とそうでない状態とでは、血管の広がり具合が違います。呼吸・循環器系のサイクルに影響が出て、急な血圧上昇で心臓への負担が増します。さらに前傾姿勢をとることで、めまいや立ちくらみを起こしやすくなることも。悪化すると転倒や発作の可能性があります。
ごくたまにですが、競技中の規制を超えて急に飛び出した一般人と接触する事故が報告されています。また選手同士の接触も多発。エアロバーの特性による前傾姿勢で、アスリートの視野はかなり狭くなっています。そのことを念頭に置き、四方八方への注意を怠らないようにしましょう。
トレーニング中は、一般公道での接触・激突事故がたびたび報告されます。
レース中と違い、公道は規制下にありません。一般車両はもちろん人間も、アスリート中心に動いてくれることはないのです。なかには違法駐車の車に気付かず、激突したという事例も。交通規制のないトレーニング中は、レース以上に注意が必要です。
首の痛みや肩こり、腰痛など、慢性的な怪我が挙げられます。これらの痛みをカバーしながら走ると、身体のほかの部位に負担が来ることに。きれいな姿勢でバイクに乗れなくなり、筋肉を傷めたり、転倒による怪我を引き起こしたりしやすくなります。
トライアスロンに限らず、運動前にはストレッチや準備運動が必要です。柔軟性を高め、血流を良くするストレッチ。いつもより動きやすい身体を手に入れられます。
本番・トレーニング後はしっかりとストレッチし、疲れを残さない身体作りを心がけましょう。このケアを怠ると身体が変なクセを覚えてしまい、怪我に結びついてしまう可能性があります。また、マッサージを受けるのもおすすめです。ストレッチ・マッサージは、筋肉痛を無くすためのものではありません。スムーズに動く体作りに欠かせないものです。「若いから」「2~3日経てば大丈夫」と高をくくらないことも大事。セルフケを怠らず、トライアスロン向けの身体を作りましょう。
テーピングの役割は「予防」「再発防止」「応急処置」です。
予防
トライアスロンで怪我しやすい部位をテーピングで補強することで、トラブルを起きにくくします。
再発防止
怪我で弱くなった部位にテーピングし、補強します。
応急処置
怪我した部位にテーピングをすることで稼働範囲を制限。それ以上の悪化を防ぎます。
テーピングは地肌に貼るので、はがすときが大変です。不注意にテーピングを貼ったあと、ムダ毛ごとはがすときの痛さは耐え難いもの。そのためトライアスロンをはじめ、アスリートたちはムダ毛の処理を怠りません。これはもはや「一つの文化」です。
バイクレース中の接触事故。転倒しそうになったらハンドルから手を離さず、身体を丸めて頭部を守りましょう。ハンドルを手放すとバイクが覆いかぶさる可能性があります。二次被害につながるので、くれぐれもハンドルは離さないよう意識しましょう。