このページでは、トライアスロンで使うバイク(自転車)の選び方について解説しています。
トライアスロンで使われているバイクには、TT(Time Trial)バイクとロードバイクの二種類があります。両者の違いについては後ほど詳しく説明しますが、その前に、バイク選びにおける大前提ともいうべき3つのポイントがあります。
バイクパートの鍵を握るのは、いうまでもなくバイク本体であり、値段が高ければ高いほど性能がよくなります。しかし、性能云々よりも大事なのが乗り手の体格に合っているかどうかです。どんなに高価なバイクでも、大き過ぎたり小さ過ぎたりしてはその性能を充分に発揮できません。
そのため、専門店でバイクを購入する際には、まず身長と股下を測って適正サイズのフレームを選ぶことになります。その上で、腕の長さや肩幅などに合わせてハンドルの幅、ハンドルステムの長さ、クランクの長さ、ギア比を決めていきます。この工程を経ずして、自分の体格にあったバイク選びはできないと言っても過言ではありません。
なお、人によってはフレームもしくはバイクそのものを譲り受けることもあるかと思います。その際も自分の体格に合っているかどうか必ず確認し、必要に応じてパーツの付け替えなどを行なってください。
バイクショップなどで並んでいるバイクは、各メーカーがパーツを選んで作っている所謂「完成車」と呼ばれるものです。完成車のメリットは、何と言ってもコスパの高さと安心感ではないでしょうか。フレームサイズも複数用意されているため、初心者にとって買いやすいのは完成車であるといえます。
一方、「フレーム買い」とはメーカーフレームもしくはショップオリジナルフレームをベースに、乗り手の体格や要望に合わせて各パーツをチョイスしてバイクを制作するというもの。フレーム買いのメリットはサイズをより細かく設定できる上、より実戦に則したパーツ選びをすることで完全なオリジナル車を作れるということです。その分、完成車よりも高額になるかもしれませんが、完成車を購入してしばらく乗った後でパーツを付け替えるなどした場合、結果としてトータルコストは大差ないということも有りえます。
どちらにもメリット・デメリットはありますので、バイク購入の際は専門家はもちろん、自転車に詳しい知人などに相談することをおすすめします。
購入の目的はもちろんトライアスロン参加のためですが、ロードレーサーにスプリンターやクライマーが存在するように、自転車にも「スプリント重視」「登りに強い」「ロング・ディスタンス向き」「とにかく軽くて乗りやすい」「見た目・個性重視」などなど、レース参加以外の乗り方も含めた目的・要望に合わせた選び方があるのです。
また、バイクの値段についても、10万円くらいの入門モデルから20万〜30万円の中級モデル、100万円以上のハイエンドモデルまで、その選択肢は無限にあります。
とはいえ、いきなり目的といわれても明確になっている方は少ないと思いますので、まずは購入の際にショップの方に相談するなどして、ゆっくり時間をかけて自分の要望に叶ったバイクを見つけるようにしてください。
TTバイクとロードバイクの違いは、まず空気抵抗を減らすフレーム形状にあります。TTのフレームは一般的なロードバイクよりも太くなっています。これは飛行機の翼のようなデザインになっていて、空気抵抗を減らすための形状です。また、ブレーキワイヤーなどをフレーム内に通すことができ、これも空気抵抗の軽減になっています(ロードバイクでもこのようなフレームは存在します)。さらに、より前乗りなシートアングルのため、ロードバイクよりも低い姿勢で走ることができることもTTバイクの特徴といえます。
では、トライアスロンにおいてTTバイクが選ばれる理由とはなんなのでしょうか。
トライアスロンのバイクパートでは、前走する自転車のすぐ後ろについて風除けにして走る行為「ドラフティング」が原則禁止されています。つまり、ロードレースでよく見られる集団走行や協調ができず、基本的に自分の力だけで走りきる必要があります。
ロードレースにも個人タイムトライアルという種目があり、選手はスタートからゴールまでを一人で走るため、より空気抵抗が少ないTTバイクを使用します。同様に、ドラフティングができないトライアスロンでは常に風の抵抗を受けながら走ることになりますので、TTバイクの方が有利になるというわけです。
トライアスロン経験者になるとロング・ディスタンスなどに挑戦することなりますが、100kmを超える長距離レースでは機動性よりも少ないパワーで早く走ることが求められます。より空気抵抗の少ない前傾姿勢で走ることができるDHバー(エアロバー)を付けたTTバイクは、操作性は劣りますが、その分長時間にわたり安定した姿勢で走り続けることができます。
ロング・ディスタンス以上のレースだけに参加するのであればTTバイクに乗るべきですが、初心者やショートが主戦場の方であれば汎用性の高いロードバイクを選んでおけば間違いありません。DHバーについても、ロードバイクに取り付けることが可能ですので、ロードバイクの運転に慣れてきてから挑戦してみてはいかがでしょうか。
今回、取材協力をしてくれた西田さんを始め、スタッフの多くが自転車競技で成績を残してきた選手。
店長は、選手としての成績だけでなく、GIANT JAPAN Racing Teamにて、監督兼メカニックとしてファクトリーチームを牽引。
競技者目線での自転車選び・アドバイスが魅力。
アクセス:横浜市営地下鉄「センター南」駅 徒歩5分