トライアスロン3種目の中で、最も長い距離を走る「バイク」。体力トレーニングなどももちろん必要ですが、やはり良いパフォーマンスをするためには、良い機材を選ぶことも大切です。「バイク」は、3種目の中で最も金額がかかる種目でもあるため、特に初心者の方は、どのようなバイクに乗ればよいか分からないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、バイクの種類や選び方、初心者の方にもおすすめバイクをランキング形式でご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
スポーツバイクには、さまざまな形態のものがあります。
ロードバイクは、舗装路を高速で走る〟ことに特化している自転車です。舗装路用の自転車の中で、最もスピードが出るバイクになります。無駄な装備が排除されているため、片手で持てるほど軽量化されており、幅が細く空気圧が高い、路面抵抗の少ないタイヤや、深い前傾姿勢が取れる独特な形状のドロップハンドルなどが特徴となっています。ツーリングやロードレース(大会)など、幅広い用途に使用することが可能です。ギアは、前2・後9~11段が主流で、スピードが出せるだけでなく、登り坂や長距離にも強くなっています。
TTバイクは、タイムトライアル競技に特化したバイクです。ロードレースのような、集団で走行するためのハンドルの操舵性などは考慮されておらず、少しでも速いタイムを出すため、空気抵抗を低減させることを重視し、高速域のスピードを一定に保つため、直進性性能を追及した形状となっています。そのため、街乗りやヒルクライムには不向きです。「トライアスロンバイク」と一括で呼ばれることもあります。
クロスバイクは、「ロードバイク」と「マウンテンバイク」それぞれの特徴を掛け合わせたような存在です。ロードバイクほどのスピードや軽さはありませんが、やや太めのタイヤでクッション性があり、舗装路を楽にサイクリングすることができます。幅の広いストレート(一直線)のハンドルが特徴で、高速域でも安定した走行が可能となっています。また、ロードバイクやマウンテンバイクほど高額ではないため、スポーツバイク入門の方に選ばれやすい形態となっています。
未舗装路やトレイルといった、普通の自転車では走破できないような道を走るのに適したバイクです。太くて大きい、ゴツゴツしたブロックタイヤや、路面からの衝撃や振動を吸収する装置(サスペンション)、幅が広いT字型ハンドルなどが特徴となっています。
トライアスロンでは、クロスバイクでの参加を許可していない大会も多くあります。また、未舗装路を走行するのが目的のマウンテンバイクも競技には不向きのため、基本的には、ロードバイクかTTバイクを使用することになります。
トライアスロンでより高い目標を目指したいという場合には、速く走ることに特化した「TTバイク」の使用が良いのですが、スポーツバイク初心者の方は、まずはロードバイクからスタートしてみるのがおすすめです。TTバイクはスピードが出る分、自転車の操作に慣れていないと怖さを感じやすくなっています。何度か大会に出場するようになり、バイクの扱いにも慣れれば、バイクへのこだわりも出てくるようになると思うので、まずは、ロードバイクでハンドルの操作やライディングスタイル、ブレーキング、知識などを身につけるようにしましょう。
トライアスロンの大会は、距離の違いにより、それぞれ、「スプリントディスタンス」、「ミドルディスタンス」、「ロングディスタンス」、「オリンピックディスタンス」に分けられます。(各ディスタンスの距離は、ルールとして明確に決まっているわけではないため、開催される大会ごとに多少異なる場合があります。)
大会ごとにコースの特徴が異なるため、トライアスロンで使用するバイクも、レースコースによって向き・不向きがあります。トライアスロンに挑戦する目的や目標は人によってそれぞれですが、自分の用途に合わせてバイクを選んでいくことが一番重要なことなので、まずは、自分はどのレースをメインに参加するのか、方向性を決めておくようにしましょう。
スプリント(Sprint)とは、「短距離競走」、「全力疾走」などの意味を持つ言葉で、オリンピックディスンスの距離の半分である、「スイム0.75km、バイク20km、ラン5km(トータル25.75km)」の大会が多い傾向にあります。他のレースより距離が短いだけでなく、参加費が比較的安く、屋外プールを使用することも少なくないため、安全で、初心者が最初に挑戦するのにもちょうど良いレースとなっています。また、中級者や上級者の方でも、実戦練習として参加している選手も多くいます。持久力を争うというよりはスピードが要求されるレースになりますが、距離が短い分、周回コースが設定されていることも多く、バイクパートでは技術が求められます。
ミドルディスタンスは、ランニングが42㎞未満で、オリンピックディスタンスより長い距離の競技です。大会により距離はさまざまですが、「スイム2km前後、バイク70~100km、ラン20km前後」という組み合わせが多い傾向にあります。オリンピックディスタンスの約半分の距離と考えていた方が良いでしょう。
ロングディスタンスは、ランニングが42kmの競技で、トータル200km前後の大会が多くあります。世界では、「アイアンマンディスタンス」が有名です。競技時間は、基本的に10時間以上に及び、朝から夜まで、丸一日かけてレースを行うため、バイク(自転車)も、耐久性のあるものや、長時間乗っても疲れにくいものを選ぶようにするのがおすすめです。十分な練習・準備をしてから臨む必要があります。
オリンピックディスタンスは、「ショートディスタンス」や「スタンダードディスタンス」と呼ばれることもありましたが、オリンピックに正式に採用されるようになってからは、「オリンピックディスタンス(OD)」という名称で統一されるようになりました。各国の代表選手が集うレースだと、競技時間は約2時間弱に、初心者の方は3時間を超える場合もあります。
フレームは、バイク(自転車)のメインボディであり、ハンドル、サドル、ペダル、前後の車輪を連結させている部分のことを指します。フレームには、加速した時や路面の凹凸など、あらゆる衝撃から力を受け止め、吸収するといった役割もあり、どの素材を選ぶかでも特性が変わってきます。
フレームの素材には、主に、「クロモリ」「アルミ」「カーボン」の3種類があります。
「クロモリ」は、鉄にクロームやモリブデンを混ぜたもので、衝撃吸収性が高く、多少の衝撃では割れにくくなっているのが特徴です。しかし、重量がどうしても重くなってしまうため、レース用のバイクであれば、基本的にカーボン製かアルミ製のどちらかを選ぶことになります。ただ、最近では、カーボン製やアルミ製のように、軽量で、レースでも使用することができるクロモリフレームも出てきているため、タイムにこだわりがない方や、丈夫で乗り心地が良いバイクを選びたいという方は、クロモリフレームを選んでみるのも良いかもしれません。
「アルミ」は強度があるため、ぶつけてしまってもへこむだけで、走行を続けることができます。また、安価なので、初心者が購入するバイクは、アルミ素材のものが多い傾向にあります。ただ、衝撃吸収性が悪く、乗り心地があまり良くないため、特にロングディスタンスでは、他の素材と比べて疲れ具合に差が出てきます。
「カーボン」とは、正式名称を「炭素繊維強化プラスチック」といい、その名の通り、カーボン繊維の集まりをプラスチックで固めたものです。強度と軽さを兼ね備えており、自転車のフレーム素材の中では最も軽量で、繊維が衝撃を吸収してくれるため、乗り心地も良いのが特徴となっています。また、正しく扱えば、10年以上は持つ素材です。「カーボン」は、トライアスロンやロードレース用のバイクの素材として主流ですが、価格が高いことや、転倒時などの衝撃に弱いなどのデメリットもあります。ぶつけてしまうと、へこまずにそのままヒビが入ったり割れたりするため、よく物をぶつけたり落としたりする方や、初心者でバイク(自転車)の扱いに慣れていない方は、使い勝手の良い「アルミフレーム」を選ぶようにするのが良いでしょう。
トライアスロンバイクは、自分の身長や体格に適したサイズを選ぶようにしましょう。自転車はフォームが大きく関わってくる種目ですので、身長や体格に合っていないものを選ぶと、適正なポジションが出せなくなり、自分の力もバイクの性能も十分に発揮させることができなくなります。また、パフォーマンスの低下以外に、身体の故障の原因にもなります。最も良い方法は、自分の身長、股下寸法、腕の長さ、肩幅などを測ってから作るオーダーメイド製品になりますが、オーダーメイドはお金もかかりますし、バイク(自転車)に慣れていない初心者の方にはおすすめできないため、まずは、自分に一番適したフレームサイズを選ぶようにしましょう。メーカーによっては、サイズごとに適正身長が記載されている場合もあるため、それを参考にするのもおすすめです。また、パーツを交換すれば、ぴったりのサイズまではいかなくても、ある程度の調節は可能になります。
バイクは、各メーカーによって得意とする分野や特徴が異なります。メーカーで自転車を選ぶのもポイントの一つです。
Cervélo(サーヴェロ)は、カナダのトロントに本社を置く自転車メーカー。流体力学に基づいて設計されたカーボンフレームなど、高い技術力を投入して開発されており、価格も高いため、初心者が1代目として購入するのにはあまり向いていません。「アイアンマン・ハワイ大会」において、11年連続で使用数№1の名門ブランド。トライアスリートから絶大な信頼を得ています。
CEEPO(シーポ)は、日本発のトライアスロンバイクブランドです。日本人の体型に合わせたサイズ展開もしており、最先端のテクノロジーで、トライアスロンに特化した製品を開発しています。ジオメトリーが扱い易いのが特長です。
FELT(フェルト)は、ドイツとアメリカの2ヶ所に拠点を置く自転車メーカー。トライアスロンバイクは、長い年月をかけ研究を重ね、世界最先端のCFD(数値流体力学)解析と幾度もの風洞実験を繰り返してデザインされています。比較的低価格なラインナップです。
TREK(トレック)は、アメリカの総合自転車メーカー。独自で開発した「OCLVカーボン(炭素繊維強化プラスチック)」を使用し、超軽量モデルを展開するなど、プロの選手や一般のトライアスリートなど、幅広い層から絶大な評価を得ています。初心者にもおすすめです。
ARGON18(アルゴン・エイティーン)は、カナダのモントリオールを拠点とするスポーツバイク専業のメーカー。オリンピックのロードレースでカナダ代表として出場したジャーベス・リューが1989年に設立したブランドで、ARGON18を使用するプロチーム「アスタナ」がヨーロッパのレースに参戦しています。
トライアスロンバイクは、サイズや性能などで選ぶことももちろん重要ですが、長く乗り続けていくためには、バイクの見た目も大切です。モチベーションを上げるためにも、ぜひ、自分好みのデザインのバイクを探してみるようにしましょう。
画像引用元HP:楽天市場公式サイト
(https://item.rakuten.co.jp/mapsports-syuppin/2012010000091/)
「ARGON18」は、カナダを拠点とする、スポーツバイク専業のメーカーです。優れたエアロ性能、快適性、軽量性と剛性の両立を兼ね備え、老若男女問わず、すべてのトライアスリートのニーズに応えるために設計された、トライアスロンバイクです。UCI公認。
カーボン
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超軽量でありながら、空気抵抗を徹底的に削減。FEA解析(有限要素解析法)とプロトタイプの剛性テストを繰り返しながら、カーボンレイアップを開発しました。シールドカートリッジベアリング採用のハブで、高速時も滑らかに回転します。
Feltエアロトラックフレーム、UltraLiteカスタムバテッドアルミニウム、ハイドロフォーム+スムース溶接、BSAスレッドBBシェル、水平ドロップアウト
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(https://item.rakuten.co.jp/qbei/ci-216592/)
FELT(フェルト)独自のフレームチューブと設計思想により、他メーカーとは異なった乗り心地を味わえます。エアロダイナミクスを最優先事項とし、空気抵抗を徹底的に削減。UCI規定に適合する、TT/トライアスロンバイクです。
FeltエアロTT/トライアスロンフレーム、UHCパフォーマンスカーボン、BB30シェル、水平ドロップアウト+インテグレーテッドドロップアウトアジャスター、内装式ケーブルルーティン(機械式・電動式互換)
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カナダに本拠点を構えるcervelo(サーヴェロ)は、トライアスリートが憧れるブランドの一つ。国際的な独立検査機関による耐久性テストをパスしており、すべてのフレームがハイパフォーマンスフレーム認定を受けています。p2は、優れたエアロ性能を発揮してくれます。
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(https://item.rakuten.co.jp/auc-fleet/kanceepo-mambatt1/)
CEEPOのロングセラーエアロロードフレーム。CEEPOの製品は、トライアスロンバイクでありながら、登坂性&加速性にも優れていることや、風洞実験をベースにデザインされたフレーム形状、日本人体形に合ったフレーム設計等が特徴となっています。トライアスロンとロードの両方に使用することができ、レース時にも嬉しい、シンプルで簡単に組み立てることができる構造です。
ハイモジュールカーボン40T 70%、インターメディエイトカーボン30T30%
ヘルメットの着用は義務付けられているものではありません。しかし、トライアスロンバイクはスピードに特化した自転車のため、万が一転倒した際、大きなケガに繋がってしまう可能性もあります。大会はもちろんですが、練習をする際もヘルメットは必ず着用するようにしましょう。
トライアスロンバイクはサドルが高いため、走り出す際は、サドルにお尻を乗せていない状態でペダルを踏み込み、スピードが出てきてから乗るようにします。初心者は慣れるまで時間がかかることがあるため。人が少ない場所で練習をするようにしましょう。サドルには軽く座り、ペダルに体重を掛けるようなイメージです。
まず、トライアスロンは基本的にドラフティング(他の選手の後ろで走り、風よけすること)が禁止されているため、集団走行するロードレースとはポジションが異なります。トライアスロンでは空気抵抗を少なくするためのエアロバーというものを装着するため、背中が水平に伸びた、深い前傾姿勢となります。ただ、このポジションは初心者には難しいため、最初はアップライトポジションで自転車に慣れるようにしましょう。
ロードバイクやTTバイクは決して安いものではないため、盗難を防いだり、きれいな状態を維持したりするためにも、室内で保管しているという方がほとんどだと思います。また、野外に放置するのは、傷がつきやすくなり、雨風や温度変化などが原因で劣化を早めることに繋がります。室内に保管する場合は、車体が倒れてしまうのを防ぐために、バイク(自転車)専用のスタンドを利用するのがおすすめです。スタンドといっても、飾ることに重点を置いたものや、バイクのメンテナンスがしやすいもの、室内でトレーニングもできるローラー台などがあるため、好みのものや使いやすいものを選ぶようにしましょう。
トライアスロンバイクは、規定に沿ったものでないと出場できなくなってしまいます。「UCI技術規則の明確化ガイド」や各大会のルールは必ず確認しておくようにしましょう。
今回はトライアスロンバイクをご紹介させていただきましたが、いかがでしたか?
大事なポイントは
ということです。
トライスロン3種目の中で、「バイクパート」は最も距離が長い分、タイムを占める割合も大きく、「スイム」や「ラン」と違って機材の影響も出やすいのが特徴です。また、自分の掲げる目標や出場したいレースによっても、バイクを選ぶポイントは変わってきます。まずは自分の方向性を明確にし、自分に適した性能のバイクを選べるようにしておきましょう。