体力の消耗が激しいトライアスロン競技では、”補給食用バッグ”は重要なアイテムの一つです。”補給食用バッグ”は、自転車のトップチューブ(フレームの上側の、サドルとハンドルを繋いでいる部分)などに取り付けることで、走行中の栄養補給がスムーズにできるようサポートしてくれる役割があります。通称、”弁当箱”とも言われる”補給食用バッグ”ですが、大会や練習に使用する際は、補給食を入れることができればなんでも良いというわけではありません。適当に商品を選んだり、普段使っていないものを大会当日に使用したりすると、自転車を漕ぐたびに膝がバッグに当たるなどのトラブルが起き、レースに集中できなくなるます。そこで今回は、”補給食用バッグ”を選ぶ際のポイントや、おすすめの商品をランキング形式でご紹介していきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください。
2019.11.15.
”補給食用バッグ”とは、その名の通り、補給食を収納しておくバックのことです。
「スイム」、「バイク」、「ラン」の3種目を続けて行うトライアスロン競技では、多くのエネルギーを消費するため、レース中に水分や栄養を補う必要があります。そこで、補給のタイミングとしておすすめなのが、種目と種目の間を指す「トランジション」と、3種目の中で最も体勢が安定している「バイクパート」になります。スイム中はそもそも飲み物や補給食を摂取することができませんし、ランパートも、走りながらになるため、補給のタイミングとしてはおすすめすることができません。最終種目「ラン」まで完走するためにも、バイクパートでしっかりと栄養補給するようにしましょう。
バイク(自転車)に装備できるバッグ(バイクパッキング)は、取り付ける位置によって、様々なタイプに分けることができます。もちろん、補給食以外にも、メンテナンスに必要な工具や、サイクルコンピューターと同期したスマートフォン、スマートフォンを充電するためのモバイルバッテリーといった、ちょっとした荷物を収納することができるため、レース中だけでなく、普段のトレーニングなどにも活用することができます。
ここでは、バイクパッキングの種類「フロントバッグ」、「フレームバッグ」、「トップチューブバッグ」、「ダウンチューブバッグ」、「サドルバッグ」、「サイドバッグ」についてご紹介したいと思います。
フロントバッグは、自転車のハンドル部分に固定するバッグで、シティーサイクル(ママチャリ)でいう、カゴの部分にあたります。バッグが前にあることで中身が取り出しやすく、荷物が視界に入るため、貴重品が入っていても安心感がありますし、ある程度の荷物は収納することが可能です。しかし、バッグをハンドル部分に固定することから、ハンドルが握りづらくなったり、ハンドルが重くなって操作しづらくなったりするなどのデメリットもあります。
フレームバッグは、その名の通り、自転車のフレームに取り付けるバッグのことです。フレームの三角形のスペースに沿ったような形をしており、比較的重い荷物を収納するのにも向いています。ただし、バッグのサイズによってはボトルケージに干渉してしまうため、ボトルケージの使用が不可になります。
トップチューブバッグは、フレーム上部(トップチューブ)に取り付けるバッグで、”フレームバッグ”ともいわれています。他のタイプに比べると容量は少なめで、小さくて軽めの荷物を収納するのに向いていますが、中身を簡単に出し入れすることができるため、補給食や、サイコンと同期したスマートフォンなど、走行中によく使用するものを入れておくのがおすすめです。
また、トップチューブバックには、バッグをトップチューブの下に取り付けるタイプのものもあります。バッグがトップチューブの上に固定されているタイプは、バイクに乗り降りする際に脚などがぶつかりやすくなっていますが、下に固定するタイプはその心配がありません。さらに、走行中の安定性が高いというメリットがあります。ただし、ペダリングの際バッグに脚が当たりやすくなってしまうことや、中身を取り出しにくいというデメリットも存在します。
”ダウンチューブバッグ”は、下側のフレーム(ダウンチューブ)に取り付けるバッグで、”フレームバッグ”ともいわれています。容量はそんなに大きくないため、収納できるものは限られていますが、工具やバイク用ディスクロックなど、常時携帯したい荷物を収納するのに適しています。
サドルバッグは、サドルの後部に取り付けるバッグで、サドルのシートポストに固定するタイプが多い傾向にあります。空気抵抗は増えにくいですが、サドルの後ろの方が重くなるため、ダンシングがやりづらくなります。サドルバックには大きめのサイズのものもありますが、重い荷物は入れないようにするのが良いでしょう。
サイドバッグは、自転車の荷台に固定する、最も積載量が多いタイプの自転車専用バッグです。左右が独立しており、後輪の左右に備え付けるような作りが特徴で、最大80kg もの荷物を積むことができるものもあります。耐久性や防水撥水性、収納力などに優れており、過酷な環境に遭遇しやすい、自転車での長距離旅などに使用されます。トライアスロンレースやロードレースなどの自転車競技で使用されることはありません。
この中で、実際のトライアスロン競技で”補給食用バッグ”として使用するのにおすすめなのは、バッグを上に固定するタイプの「トップチューブバッグ」になります。
”補給食用バッグ”は、「ライド中に中身が取り出しやすいもので、走行の邪魔になりにくいもの」を選ぶことがポイントなので、「トップチューブバッグ」は、バイクレース中に使用するバッグとして向いている形状といえます。また、先ほども説明した通り、ライド中に使用する頻度が高い荷物(補給食など)を収納するのに向いているので、自転車を漕ぎながらいつでも手軽に栄養を摂取することが可能になります。トップチューブバッグはフレームの影響を受けにくいため、ほとんどのバイクに取り付けることができます。
今回は、トライアスロン競技でも、補給食用バッグとして使用されることが多い、”トップチューブバッグ”についてご説明させていただきます。
トップチューブバッグには、いつでも着脱可能な面ファスナーで固定する「ストラップタイプ」と、ボルトで固定する「ボルトタイプ」があります。
「ストラップタイプ」は、バックをトップチューブに面ファスナー(いわゆるマジックテープ、ベルクロテープ)で固定するため、着脱が容易で、一つあれば複数のバイクに使いまわしをすることが可能です。
「ボルトタイプ」は、トップチューブの台座にボルトで取り付けるため、しっかり固定することができ、ずれる心配がないというメリットがあります。また、ストラップがない分、見た目がスマートな印象になります。ただ、ボルトタイプの場合はネジ受けが必要になるため、トップチューブにボルト穴があるフレームにしか取り付けすることができません。
今回ランキングでご紹介する商品は、ほぼ全てのバイクに取り付けることができるストラップタイプのトップチューブバッグをご紹介していますが、より安定性に優れたものや、すっきりとした外見が良いという方には、ボルトタイプのトップチューブバッグを選択肢にいれてみるのもおすすめです。
自然の中で開催されるトライアスロン競技は、大会当日が雨天だったり、レース中に突然雨が降ってきたりすることがあります。そのため、防水機能のある補給食バックの使用がおすすめです。”防水”といっても、防水性の高さは製品によって異なります。特にロング・ディスタンスのように走行距離が長い大会によく出場する方は、その分濡れている時間も長くなるため、防水性の高い補給食用バッグの使用がおすすめです。また、バッグの素材自体に高い防水効果があっても、バッグの作りによっては、隙間から雨水が侵入してしまう可能性もあります。開口部の部分などは購入前にチェックしておくようにしましょう。
容量が大きいものは収納できる荷物の量も増えますが、その分バッグの幅が広くなってしまうと、ペダリング時に膝が当たりやすくなり、走行中にストレスを感じやすくなります。逆にバッグのサイズが小さすぎても、十分な量の補給食を入れることができなくなるため、最低限の荷物が入る、適度な大きさのものを選ぶようにしましょう。特にバイクパートは、3つの中で最も距離が長い種目になります。漕ぐたびに膝がバッグに当たってしまうと、次の種目の「ラン」に移るまでずっとストレスを感じたり、不快な思いをしたりすることになるため、特に横幅のサイズは気にするようにしましょう。
「ストラップタイプ」は、取り付け部分が2ヶ所あり、自転車のトップチューブに巻き付けることでバッグを固定します。なかには、ストラップが3つ付いているものもあり、トップチューブとヘッドチューブに3箇所で固定するため、より高い安定感を得ることができます。また、ストラップ部分も丈夫なものを選ぶようにしましょう。
重量 | 90g |
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価格 | 3,035円 |
サイズ | 長さ/210mm x 高さ100~55mm x 幅55~40mm |
フォークコラムの角度に沿う独自のデザインとなっており、トップチューブとフォークコラムに取り付けて使用します。さらに、バックの底の硬さや、ベルクロの形状を工夫することで、平らなトップチューブにも丸いトップチューブにも安定させることが可能。反発性の高いクッションが仕込まれており、コードを通すための穴もあるため、モバイルバッテリーなどの収納にもおすすめです。
重量 | 76g |
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価格 | 4,070円 |
サイズ | 215x100x55mm |
ベルクロストラップがバッグに3つ付いているため、トップチューブとヘッドチューブにしっかり固定することができる、大型サイズの補給食用バッグです。補給食だけでなく、スマートフォンなども収納可能。ジッパーは防水性となっています。
重量 | 約130g |
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価格 | 2,099円 |
サイズ | 18.5cm(L)×6.5cm(W)×12cm(H) |
ダブルジッパーと大きな開口部が特徴の補給食用バッグ。メインポケットとアクセサリポケットに荷物を分類して収納することができ、商品も出し入れしやすくなっています。バッグには反射性のあるストリップがあり、夜間のライディングも安全です。防水性、耐久性に優れています。
重量 | 120g |
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価格 | 3,872円-14,433円 |
サイズ | L175x W75x H110mm |
420 デニール ナイロンとPVC 素材を採用。取り付けも簡単で、ダリング・ハンドリングを妨げる心配がありません。補給食入れにはもちろん、ケーブルを通す専用の穴もあるため、練習中に、スマートフォンで地図を確認したり、サイコンと同期してアプリを使用したりしている方は、モバイルバッテリーで充電しながらの走行が可能となります。
重量 | 118g |
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価格 | 1,899円 |
サイズ | 20×6×10cm(1.2L) |
高い防水機能を持つ補給食用バッグ。TPU+ ナイロン生地採用で、耐摩耗性・耐擦傷性にも優れており、見た目も高級感があります。フレームに合うデザインのため、膝に干渉する心配もありません。固定帯も調節可能で、安定感があります。
重量 | 65g |
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価格 | 2,160円 |
サイズ | 7/ 5/ 14(高さ× 幅× 奥行)cm |
軽量で、シルクのような手触りのナイロン生地を使用。PU コーティングが施されているため、耐水性もあります。細身のデザインですが、補給食を入れるにはちょうど良い収納スペースです。ペダリング時に膝が当たりにくいのも人気の理由の一つ。
重量 | S:約90g、L:約130g |
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価格 | 2,690円 |
サイズ | S:縦8.5x 横21.5x マチ5.5cm L:縦10.5x 横23.5x マチ6.5cm |
レース中や練習中の雨にも対応できる、防水性の高い高品質なポリウレタン素材を使用。コンパクトな見た目ですが、容量が大きいため、収納力も抜群です。ベルクロ式なので、ほとんどのバイクにも装着することが可能。取り付けも簡単です。サイズは、Sサイズ・Lサイズの2種類があります。
大会によっては競技時間が10時間を超えることもあるトライアスロンレースでは、多くのエネルギーを消費するため、レースを完走するうえで水分補給や栄養補給の仕方はとても重要なポイントになります。
レース中に空腹状態が続いてしまと、「ハンガーノック」という状態に陥ります。「ハンガーノック」とは、長時間にわたる激しい運動により、血糖値が急激に下がり、極度の低血糖状態になることで、動悸や手足のしびれ、冷や汗、顔面蒼白、意識障害といったさまざまな症状が発生する現象のことです。最悪の場合は死に至ります。
一度「ハンガーノック」の状態になってしまうと、カロリーを摂取してもエネルギーに変換されるまでに時間がかかってしまい、そもそもエネルギーに変換する力すらなくなってしまっている場合もあります。そのため、ハンガーノックは、”対処法”ではなく”予防”が大切です。空腹を感じてからではなく、空腹を感じる前からエネルギーや栄養をこまめに摂取するようにしましょう。もし、エネルギー補給のタイミングが少し遅れてしまったという場合には、ブドウ糖や砂糖といった糖質補給をすると、早めに回復することができます。
また、大会当日は朝食をしっかり摂る、レース開始30 分前にゼリー飲料を摂取する、バイクパートでスイム時に消費されたエネルギーや水分の補充、エイド(給水所)で、次のランに向けてのエネルギーの補給を行うなども大切です。
個人差はありますが、基本的に、食べ物の消化・吸収には約3時間かかるといわれています。さらに大会当日で緊張していると、いつもより消化に時間がかかってしまうことがあります。朝食は、レース開始時間の3時間前に済ませるようにし、消化に負担がかかりやすい生ものの摂取は避け、消化に時間がかかりやすい食物繊維の摂取は抑えるようにしましょう。
スイム中はエネルギーの補給ができないため、レース開始前の20~30 分前にゼリー飲料などを補給しておくのが良いです。レース直前は特に緊張しやすい場面ということもあり、消化管の機能がいつもより鈍くなっていますし、食べ過ぎると泳ぐ際に苦しくなるため、ゼリー飲料やジェルなどの、消化しやすいものを摂取しておくのがおすすめです。
バイクパートは最も長い種目なので、栄養の他に、水分や電解質(塩分)なども十分に摂取しておくようにします。
また、運動中は筋肉への血流量が増える分、胃腸への血流が低下するため、消化できる量が限られています。「ハンガーノック」を予防するためにも、エネルギーのこまめな補給はもちろん大切ですが、水や補給食をハイペースでどんどん摂取してしまうと、胃腸に負担がかかってしまい、吐き気や腹痛、下痢などの症状が引き起こされてしまう可能性があります。そのため、補給食は、少ない量で高カロリーを摂取できるものがおすすめです。
人によってエネルギーの消費量は異なりますし、当日のコンディションや天候なども影響してくるため、補給のタイミングや摂取量の調整・どのような補給食を持っていくかなどは、日頃のトレーニングで何度も実験を重ねる必要があります。
固形物は腹持ちが良いですが、胃腸に負担がかかりやすくなるため、練習のうちから摂取するタイミングや量などを試しておくのが良いです。また、エネルギー不足を回避するため、カロリー(糖質)を摂取することはもちろん大切なことですが、タンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルなども意識して取り入れるようにしましょう。アミノ酸には、運動パフォーマンスをサポートしてくれる働きがあるため、必須アミノ酸が効率よく摂取できるものを選ぶようにするのがおすすめです。
ほとんどのバイクに使用することができるトップチューブバッグですが、どのバイクにも合わせやすいよう、ストラップが長めにできている傾向にあります。そのため、長いままだと、ストラップ部分が引っ掛かったり、擦れたりするだけでなく、バイクウェアを傷つけてしまう恐れもあります。気になる方は、余分に長い分をハサミなどでカットし、先は丸めておくなど、ウェアやストラップが傷む前に早めに対処しておくようにしましょう。
今回は補給食用バッグをご紹介させていただきましたが、いかがでしたか?
大事なポイントは
ということです。
3種目の中で最も競技時間が長いバイク種目での栄養補給は、スイムで消費したエネルギーの回復や、次のランに備えるための栄養補給なども兼ねているため、補給のタイミングとしてはとても重要なポイントになります。スムーズな補給やストレスのない走りをするためにも、自分が使いやすいと思う補給食用バッグを前もって準備しておくようにしましょう。