トライアスロン大会は、開催地が離島であることも多く、国内大会でも遠方であることがほとんどです。遠征の際は、バイクパートで使用するロードバイクやトライアスロンバイクを開催地まで持っていけるよう、一度自転車を分解して、”輪行袋”といわれる自転車専用の袋に入れて移動するか、または、開催地までバイクを事前に輸送することになります。ここでは、電車や飛行機を使って移動する際に必要となる”輪行袋”や、輪行時に必要となる”エンド金具”などについてご紹介したいと思います。
2019.11.11.
「輪行袋」とは、自転車を分解して収納しておくための専用の袋のことです。
電車(鉄道)や飛行機、船などの公共交通機関を利用し、目的地(大会開催地や練習場所)まで自転車を”手荷物として持ち込んで運ぶこと”を、「輪行」と言います。「輪行」は、トライアスロン大会に出場する際や、少し遠くの練習場所まで移動したい時、自転車の故障や急な天候の変化など、何らかの理由により自走ができない、または自走するのが危険である場合などに採用される手段です。
”輪行”のメリットとしては、自走せず、公共交通機関を利用することにより、移動時間を短縮できることや、片道だけ輪行するなど、コース設定の自由度が高いこと、完走するのが難しい場合に、自走以外で帰る方法があるなどが挙げられます。また、交通の便にもよると思いますが、基本的には、高速道路で移動するよりも、電車を利用したほうが交通費を抑えることにも繋がります。ちなみに、自家用車に自転車を載せて移動する場合は、公共交通機関を利用していないため、”輪行”には相当しません。
電車などの公共交通機関を利用した輪行の場合、各公共交通機関が定める規定に従って、自転車は必ず「輪行袋」に収納して移動する必要があります。「輪行袋」以外の袋(ゴミ袋やブルーシートなど)は使用不可で、自転車の一部が輪行袋からはみ出していたり、自転車がどんなにコンパクトに折りたたまれていても、袋に入っていない状態だったりすると、持ち込みすることができません。
また、自転車の持ち込みが可能なバスの場合でも、トランクの容量によっては、預かり台数に限りがあったり、前輪を外すだけで収納できるタイプの輪行袋だと、利用できなかったりする場合があります。利用する交通機関の規定は必ず確認しておくようにしましょう。
各交通機関の規定を守ることはもちろんのこと、周囲の方への気配りも忘れずに乗車することも必要です。輪行袋に収納しているとはいえ、やはり大きな荷物ですので、場所を必要以上に使ってしまったり、満員電車の中に持ち込んだりするのは迷惑になってしまうため、交通機関を利用する時間帯や車両などにも十分配慮しておきたいところです。
自転車は、輪行袋にただ入れれば良いというわけではありません。ここでは、輪行袋と一緒に揃えておきたいアイテムについて、ご紹介させていただきます。
「エンド金具」は、自転車を輪行袋に収納する際に、ディレイラーハンガー(変速機)やリアエンド、フレームを固定し、変形や破損から保護するために必要となるアイテムです。
輪行時、特に縦型タイプの輪行袋を使用する際には、”必須”となります。輪行袋によってはエンド金具が付属されているものもありますが、基本的には輪行袋とは別で揃える必要があります。
また、エンド金具には、フロント用(前輪用)とリア用(後輪用)の2つの種類があります。輪行で必ず使用するのは、コの字型のリア用(後輪用)エンド金具です。リア用(後輪用)のエンド金具がないと、リアディレイラーやフレームが安定しないため、変形または破損しやすくなり、ロードバイク(トライアスロンバイク)を自立させることができず、パッキング(荷物を梱包すること)ができないといった問題が発生します。移動中はどうしても袋の中で自転車が動いてしまうので、フレームやディレイラー(変速機)を保護するためには、エンド金具は必ず購入しておく必要があります。リア用(後輪用)は製品によってそれぞれサイズが異なるため、購入前は必ずエンド幅の確認を行うようにしてください。
また、フロント用(前輪用)エンド金具はパイプ型になっており、前輪を外した際に前輪のハブシャフト代わりとして使用することで、フロントのフォークエンド部分を保護することができるようになっています。リア用(後輪用)エンド金具だけでは不安という方は、フロント用(前輪用)エンド金具も準備しておくと良いでしょう。
その名の通り、スプロケット(ギア)を保護するためのカバーです。後輪を取り外すとスプロケットがむき出し状態となるため、そのまま収納してしまうと、スプロケットが傷つきやすくなるだけでなく、自転車の他のパーツや輪行袋を、傷つけたり汚したりする原因となります。収納する際は、スプロケット部分にスプロケカバーを装着するようにしましょう。
分解した自転車のパッキングでは、フレームとホイールを固定するため、移動中はどうしてもフレームとホイール同士が擦れてしまったり、衝撃の原因になったりします。そのため、フレームとホイールの間にフレームカバー(緩衝材)を差し込んで、擦れや衝撃を保護する必要があるのです。特に、衝撃に弱く割れやすいカーボン素材のフレームを使用している場合には、フレームカバー(緩衝材)の使用は必須となります。
チェーンもスプロケットのように、自転車を分解することによって剥き出し状態となるため、チェーンについている油が他のパーツやフレームに付着してしまったり、傷つけたりする原因となります。チェーンにもカバーを被せておくようにしましょう。
リア用(後輪用)のエンド金具を取り付ける際は、エンド金具にチェーンを通して固定する必要があります。素手でチェーンを触ってしまうと、手が油まみれになってしまうため、手の汚れを防ぐためにも、軍手は用意しておくと良いでしょう。また、フレームとホイールの間に挟み込むことで、フレームカバー(緩衝材)としての役割を果たすこともできます。作業で汚れてしまった軍手は、他のものに汚れを付けてしまわないよう、ビニール袋やチェック付きの袋などに入れて持ち運ぶと良いでしょう。
輪行を頻繁にする方は、前輪と後輪を外して収納する「タテ型」タイプの輪行袋がおすすめです。この「タテ型」タイプを使用する場合には、リアエンド金具は必ず必要となります。主に3種類ある輪行袋の中で最もコンパクトに収納できるタイプで、車両内でも比較的邪魔になりにくくなっています。
また、各交通機関の規定によっては、このタイプの輪行袋しか使用できない場合もあります。ただ、前後ホイールを外すことになるため、自転車の構造に詳しい方や、組み立て・分解に慣れている方でないと、収納に時間がかかります。また、パッキングの擦れによりパーツに傷がつきやすくなるため、緩衝材やタオルなどを用意する必要があります。
前輪と後輪を外す「ヨコ型」タイプの場合は、前後のホイールを外した後にフレームをひっくり返すため、エンド金具を必ず用意しなければならないというわけではありません。前輪と後輪を外す「タテ型」タイプよりは手間が少なく、幅は取りますが、高さがないため、小柄な方でも持ちやすくなっています。
前輪のみ外すだけで収納できるため、とにかく手間や時間がかかりません。初心者の方や、収納に慣れていない方におすすめです。ただ、前輪しか外さないため、その分サイズが大きく、各公共交通機関の規定違反となることがほとんどです。また、サイズも大きいため、持ち運びも大変です。周囲の人に迷惑をかけないよう、人混みが多いところでの持ち運びは避けるようにしましょう。
ロードバイクやトライアスロンバイクといった自転車の分解・収納は、慣れていない初心者の方にとってはかなり大変な作業になります。しかし、輪行袋によっては、輪行袋の内側に「ホイールバッグ」という、ホイールを入れておくための専用の袋が付いているものもあるため、ホイールとフレームを固定するパッキングの作業を苦手に感じている方は、ホイールバッグ付きの輪行袋を選ぶと、時間をかけずにすっきり収納することができるようになります。また、収納に慣れていない方だけではなく、収納時間や収納する手間を少しでも省きたいという方にもおすすめです。
輪行袋には、防水機能付きで、急に雨が降ってきても袋が濡れてしまうのをある程度防げるものや、伸び縮みする伸縮性に優れた生地を採用することで、収納しやすくなっているものなど、それぞれ特徴のある輪行袋が販売されていたりします。また、汚れが目立たないよう、あえて暗いカラーを選ぶ方もいるでしょう。自転車カバーとして使用できるものもあります。
輪行袋は、もちろん各交通機関の規定や自分の用途などに合わせてサイズを選ぶ必要がありますが、それに加え、あると便利だなと思う機能や、使用している生地の素材、カラーなど、プラスαで商品を比較してみても良いかもしれません。
特に輪行袋は、外に持ち運んだり、自転車を出し入れしたりすることから、どうしても汚れやすくなっていますので、気になる方は、黒などの暗い色を選ぶと良いでしょう。また、防水機能があるものは、汚れてもお手入れがラクなのでおすすめです。
サイズ | 縦1100mm、横950mm、底幅250mm |
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価格 | 6,060円 |
ストラップ、エンド金具(フロント100mm、リア130/135mm 対応)、フレームカバー、スプロケットカバーが付属している、縦型タイプの輪行袋です。袋の内側にはサドルとエンド金具の位置を示すイラストがあり、収納方法が明確。揺れやすい車内でも、本体収納袋の巾着ひもを利用すれば、手すりなどに固定することができます。
サイズ | 長さ135x 高さ82x 幅21cm |
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価格 | 11,000円 |
全面に厚さ10mm のクッションが入った、航空輸送向け輪行袋です。衝撃から車体全体をしっかり保護してくれます。取り外しや調整が可能なショルダーベルトや、手持ちのストラップがついて、飛行機での輪行にとても便利です。持ち運び内面には収納手順がプリントされていて、フレームとホイールはベルト固定せず専用ポケットへ収納するだけなので、とても手軽です。
サイズ | 1100mm×950mm×250mm |
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価格 | 4,809円 |
重さ235g という超軽量タイプの輪行袋です。ボトルケージに入る大きさまでコンパクトに折りたたむことができるため、ペダリングを邪魔する心配がありません。シンプルなデザインと、ワンタッチタイプの新付けバンドで、さっと収納することができます。エンド金具は付属しないため、別途揃える必要があります。
サイズ | 800×1380×220mm |
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価格 | 7,152円 |
前輪を外すだけなので、自転車をラクに素早く収納することが可能です。外した前輪は、袋内部にあるホイールバッグに入れるだけ。少し重いですが、その分しっかりした生地のため、耐久性に優れており、自転車に傷がつくのも防いでくれます。
サイズ | L1,590 x H870mm |
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価格 | 4,048円 |
後輪はそのまま、前輪を外すだけで収納できる輪行袋です。ジッパーを開き、輪行袋の後部をベルクロで留めることによって、後輪が露出している状態になるため、自転車を押しながら移動することも可能となっています。薄くて軽い生地を採用しており、輪行時の全体の重量も抑えられます。輪行袋を収納できるポーチ付き。
サイズ | W300 × H210 × D80 mm |
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価格 | 3,870円 |
雨が降った時も安心の、高い防水性能を持った輪行袋です。自転車をそのまま収納したり、後輪を転がしながら運べるようにしたりと、シーンに合わせてさまざまなスタイルに変えることができます。生地には、耐水圧1,500mm のナイロンタフタ(PUコーティング)素材を採用しており、防水機能だけでなく、軽量でありながら強度にも優れています。
今回は、輪行袋の種類の中でも、「エンド金具」を使用する”タテ型収納タイプ”の収納方法についてご紹介したいと思います。
冒頭でもお伝えした通り、輪行は”公共交通機関”を利用して自転車を持ち運ぶ手段です。自転車もコンパクトに収納するのには限界があるため、どうしても大きい荷物になってしまいます。飛行機輪行の際は、自転車が収納された輪行袋を貨物室へ預けることになるため、自分が座る席まで持ってくるということは基本的にないのですが、電車での場合だと、移動中は常に自分で持ち歩くことになり、ホームで電車を待っている時や車内でも、置く場所や置き方を気にしなければなりません。
鉄道各社には、以下のような規定があります。
■JR グループ
車内に持ち込む際には、各鉄道会社が規定している荷物のサイズに合わせて持ち込むようにしましょう。また、タテ型もヨコ型も関係なく、常に周囲の人への配慮は忘れずに乗車するようにしましょう。
■輪行のマナーについて
自転車が収納してある輪行袋を持って人混みの中を歩くのは、周囲の人の迷惑になるだけでなく、大きい荷物を抱えて人混みの中を移動している自分にとってもストレスを感じやすい場面です。混みやすい時間帯は避け、比較的人の出入りが少ない駅をあえて選ぶなど、できる限り対策はとるようにしましょう。周りの方に迷惑がかかってしまうのを防ぐだけでなく、自分がスムーズに行動できるようになることにも繋がります。
今回は輪行袋をご紹介させていただきましたが、いかがでしたか?
大事なポイントは
ということです。
トライアスロン大会などで遠征する際に、必ず必要となる”輪行袋”。一つ持っていれば、さまざまな場所で練習することも可能になります。ぜひ、自分が使いやすいと思う輪行袋を見つけて、大会の移動や日々のトレーニングなどに役立ててみてはいかがしょうか。