このページでは、トライアスロンの一種目であるスイムに関するルールについてまとめています。
公益法人 日本トライアスロン連合のオフィシャルサイト内に掲載されている「JTU競技規則 第6章 スイム(水泳)」の中から、特に注意すべき項目をピックアップしました。
- スイムは、状況に応じた最良の泳法により競技することができる。
- プールでのスイムは、状況により水底に足を付けてもよい。ただし、歩き、又は水底を蹴りながら推進してはならない。
泳ぎ方については特に指定はありませんが、もっとも早く泳げる泳法として、一般的にクロールが採用されています。また、プールで水底に足をつけることも禁止されていません。
危険回避や体調保全のため、競技を一時停止してブイ、コースロープ、フロート類及び停止中のボートにつかまるなどの方法により小休止をとることができる。ただし、これらを利用して推進することを禁止する。
危険回避を目的としてブイやコースロープ、停止中のボートにつかまることは禁止されていませんが、それらに掴まりながらの移動は不可です。
また、一度救助されると原則として競技を再開できないことも明記されています。
- スイムでは、支給されたスイムキャップ及び指定用品を着用しなければならない。
- スイムキャップを2枚使用しようとするときは、内側のスイムキャプはブランド名のないものでなければならず、選手がラインナップ手順を開始した瞬間以降、公式キャップは外側に身に付けなければならない。
- スイムキャップへのスポンサーロゴは、ITU/大会実行委員会が定めたもの以外は許可されない。
スイムキャップについては、大会ごとに支給されることが多く、それをレースで使用すれば特に問題はありません。
ただし、支給がない大会については持参したスイムキャップでレースに臨むことになりますので、練習用のスイムキャップを購入する際に上記ルールを念頭においておくとよいでしょう。
- ウェットスーツ禁止の場合は、承認されたトライスーツを着用しなければならない。選手が複数のトライスーツ着用を選択した場合、いずれも規定に準じていなければならない。また、外側のトライスーツは、ユニフォーム規則に準じていなければならず、競技中の全般にわたり脱ぐことはできない。ただし、ミドル及びロングディスタンス大会を除く。
- ウェットスーツ着用禁止のときは、肩よりも下の腕の部分や膝下の脚部を衣服で覆うことを禁止する。
基本的にスイム競技中はウェットスーツを着用することになりますが、その下に着るトライスーツについてもルールが定められています。
スイムでは、次に掲げる用品の使用を禁止する。
(1)足ヒレ又はパドルなど推進を補助する効果が得られる用具
(2)浮力を得られる用品
(3)グラブ、ソックス、シュノーケル及びガラス製品
スイム競技中の水泳を補助するような道具の着用は、一切禁止されています。
- ウェットスーツは安全のために有効であり、着用を推奨する。ただし、別に指定がある場合はこれによる。
- 低水温や不安定な環境が予想されるときは、ウェットスーツの着用を義務付けることがある。この場合においては、競技開始前に公式掲示板等により通知される。
安全面の観点からウェットスーツの着用は「推奨」とされていますが、その日の水温によって禁止および必須という判断がなされます。
以下がその着用基準です。なお、着用必須の場合はウェットスーツが胴体を覆っていなければなりません。
スイムの距離 | 禁止 | 必須 | |
---|---|---|---|
エリート、U23、 ジュニアとユース選手 |
1,500m以下 | 20℃以上 | 15.9℃以下 |
1,501m以上 | 20℃以上 | 15.9℃以下 | |
エイジグループ | 1,500m以下 | 22℃以上 | 15.9℃以下 |
1,501m以上 | 24.6℃以上 | 15.9℃以下 |
ウェットスーツの着用が義務付けられている大会及び着用することができる大会においては、次の各号に掲げる条件を満たす形状のものを使用するものとする。
(1)身体によく合ったサイズであるもの。
(2)手首及び足首より先を覆わないもの。
(3)下半身のみを覆う形状でないもの。
(4)厚さが5mmを超えないもの(各部の厚さはこの範囲内であれば制限を設けない。)ウェットスーツが2ピースの場合、重なる部分の厚さも5mmの制限を超えてはならない。
(5)表面に推進力又は浮力を向上させるような加工が施されていないもの。
(6)内部に浮力を向上させるものが入っていないもの。
使用禁止用品と同様、スイム競技中の水泳を補助するような機能をもつウェットスーツの着用は一切禁止されています。
「JTU競技規則 第6章 第57条」で記載されているウェットスーツの着用について、そもそもなぜ着用が義務付けられているのでしょうか。
まず大前提として考えられるのが、競技を行なう上での安全性です。
トライアスロンにおけるスイムは、基本的に海・湖・川といったオープンウォーターで行われます。そこには波があったり、時期によってはクラゲが発生することもあります。
当然ながら日によって水温も変化しますので、前述のように水温が15.9℃以下になると、選手の安全のためウェットスーツの着用は必須になります。
また、屋内プールで行われる競泳のように選手毎に明確なレーン分けがされているはずもなく、複数人で一斉に泳ぐ際には接触(バトル)が起こらないとも限りません。
保温性に優れ、且つ全身のほとんどを覆うウェットスーツを着ることで、そういった身体的なトラブルを回避できるという意味で、やはりウェットスーツは着用するべきであるといえます。
トライアスロン用のウェットスーツには、タイムを競うスポーツだからこその機能が備わっています。
トライアスロン用は少しでも早いタイムを出すことを念頭に、肩周りがより動きやすくなるようにデザインされています。また、陸に上がってバイクへのトランジットを行なう作業もタイムに影響しますので、脱ぎやすいつくりになっていることも大きな特徴です。
さらに、ウェットスーツを着ることでぷかぷか浮くくらいの浮力を得られます。キックをしなくてもそれほどお尻が下がらず、呼吸も楽にできますので、体への負担は大幅に軽減されるでしょう。そのため、スイムがウィークポイントという方にとっては、まさに無くてはならない必需品なのです。
結論からいうと、トライアスロン用でなくても大会への参加は可能です。
ウェットスーツには大きくスキューバダイビング用、サーフィン用、トライアスロン用の三種類があり、それぞれ特徴が異なります。サーフィン用であればある程度動きやすい作りになっていますが、常に泳いでることを想定し、且つ素早く脱ぐことができるトライアスロン用にはかないません。
水中で大きな動きをしない、保温機能を最優先につくられたダイビング用は、もはや論外でしょう。
トライアスロンをはじめるきっかけは人それぞれかもしれませんが、続けていくうちに必ずタイムへのこだわりが芽生えてくるはずです。
そうなったときに後悔しないためにも、トライアスロン用のウェットスーツを準備することをおすすめします。
開校して20年の実績を誇る歴史あるトライアスロンスクール。
老若男女問わず、それぞれのレベルに合わせて練習メニューを組んでくれている。
オリンピックの代表候補になったコーチやテレビのトライアスロン企画で芸能人のコーチを行った方など、実績豊富なコーチ陣が懇切丁寧に教えてくれます。
校舎:新宿、成増、田無