大胸筋を鍛えるためには、ダンベルを使ったダンベルトレーンぐを避けて通る事はできません。それほどにしっかりとした効果が得られるトレーニングであり、鍛え方やアプローチの仕方も様々です。今回は、大胸筋に効果的なダンベルトレーニングを、自宅でもできるメニューと併せてご紹介します。
大胸筋と言えば、一般的には胸部にある筋肉の事を思い浮かべるでしょう。しかし、一口に大胸筋と言っても、その種類は様々あり、大きく分けると上部、下部、外側、内側という4種類に分けられます。 大胸筋の起始部、つまり筋肉の収縮の際にあまり動かない部位が、鎖骨部上部、胸肋部内側、腹部外側の計3か所あり、これら3か所から始まった大胸筋は、そのすべてが上腕骨の大結節稜外側で停止します。 これらスタートが異なっている筋肉というのは、日常生活でも使われるタイミングや動きがそれぞれ違っていますので、外側にある大胸筋と比較すると非常に鍛えにくいのです。その為、大胸筋を鍛えたい場合、どの部位を重点的に鍛えたいのかを考え、効率的に取り組む必要があります。
器具を使用した筋肉トレーニングは、自重ではできないレベルの負荷をかける事が出来ますので、確かなメリットになっています。しかし、大胸筋を鍛えるうえでは、ダンベルを使う事のメリットはそれだけにとどまりません。
1つは、筋トレのメニューが豊富に存在する事です。ダンベルを使った大胸筋を鍛えるメニューというのは、とても多く存在しています。トレーニングのバリエーションが多いという事は、その分筋肉に対するアプローチも多くなります。 大胸筋のトレーニングで言うと、ダンベルを真上に押し上げて全体的に負荷をかけるベンチプレスをはじめ、翼のようにダンベルを動かすダンベルフライで集中的に負荷をかけるなど、様々な面からアプローチが可能になっています。自宅でも、ダンベルを取り入れるだけでマンネリを解消できるかもしれません。
2つ目は、左右個別に鍛えられる事です。人間の体というのは、左右どちらかの力が強く、もう一方の力が弱かった場合、基本的には強い方が弱い方を支えるようにできています。筋トレの中でも、ダンベルをどちらか力の足りない方をもう片方が補う事で、持ち上げる事を可能にしています。 その一方で、ダンベルを利用するトレーニングというのは基本は片腕ずつ行うものが多くあり、筋力が足りない分を片方の手が補完するという事はありません。その為、左右独立して鍛えられ、均衡の取れたバランスの良い胸筋が出来上がります。
大胸筋を鍛えられるトレーニングとして有名なベンチプレスなどは、ジムに行かなければ中々できません。器具を自分で揃える事も出来ないわけではありませんが、費用がその分かかりますのであまり現実的とは言えないでしょう。 その分、ダンベルであれば置き場所に困る事はありませんし、保管が簡単です。その為、ジムに行くこと自体を億劫に感じている人や、そもそも時間があまりないという方にとっても、自宅で簡単に手に持って鍛えられますので、手軽にトレーニングに勤しめます。
以上、大胸筋をダンベルを使って鍛えるメリットなどについて解説してきました。ここからは、本題となる大胸筋に効果的なダンベルトレーニングを合計9点、やり方とコツを合わせてご紹介していきます。
まず1つ目のトレーニングは、デクラインダンベルプレスです。インクラインとデクラインという言葉があり、インクラインは体よりも頭を上にし、デクラインは頭を体よりも下にします。その為、このトレーニングでは頭が体よりも下に来るようにして取り組みます。
デクラインダンベルプレスの一連の動作になります。この動作を10回1セットで繰り返し、1分から2分のインターバルを置いたのちに、もう2セット、合計3セットを目標に取り組みます。
大胸筋のトレーニングの中でも、デクラインダンベルプレスは胸筋下部を集中的に鍛える事が出来ます。取り組むうえで重要になるコツは、ダンベルを降ろすときに前腕部分が体と垂直になる位置へ下げるという事です。 デクラインダンベルプレスでは、一般的な器具を使ったものとは異なり、体が少し斜めになっています。その為、いきなり無理はしないようにし、取り組むとしても無理に10回3セットを目指さなくても結構です。
続いて2つ目は、フロアプレスです。ベンチを使うことなく、自宅でも取り組む事が出来るダンベルトレーニングの1つです。こちらもデクラインダンベルプレスと同じく、フロアマットを用いて行うのが無難です。
大切なコツとなるのは、鍛えたい部位によって方法を変えるという事です。大幅に変える必要はありませんが、上部や内側を鍛えたいのならば脇を締めて肘を近づけ、下部や外側に刺激を与えたいのならば、逆に手幅を広げると効果的です。
3つ目のトレーニングは、インクラインダンベルプレスです。デクラインダンベルプレスを1つ目に紹介しましたが、こちらはインクラインですので頭を上に位置させて、上半身を斜めにした状態で取り組みます。
ここで重要なのは、ダンベルを無理に下まで降ろさないようにする事です。無理やりに下げようとすると、肩に余分な力が入ってしまうなど、大胸筋へ正しく刺激が行き渡らない可能性があります。 やり始めは大胸筋や三頭筋に効いてきたと感じるポイントでストップさせてもかまいません。反動をつけないようにして、ダンベルの動きにメリハリをつけてください。
おそらくもっとも有名な大胸筋のトレーニングであろう、ダンベルプレスです。それというのも、トレーニングの中では基本のメニューに相当し、可動域がベンチプレスよりも広く大胸筋を追い込みやすいのです。
ダンベルを下げる時、目安となるのは上腕と体が平行になるまでです。さらに下まで下げる事も不可能ではありませんが、下げすぎてもマイナスに働いてしまう事があるため注意してください。下ろすとき、上げる時両方ともゆっくりの動作にすることで、胸筋への刺激がしっかり伝わります。
家に椅子さえあれば、自宅でも取り組む事が可能なダンベルバタフライです。これまでのトレーニングは1セット10回のものばかりでしたが、ダンベルバタフライでは1セットで15回を目指します。
伸ばしている腕は完全に伸ばし切るのではなく、少しだけ肘を曲げた状態にして取り組んでください。完全に伸ばしたままでは、ダンベルの重さが肘へと直接不可となってかかりますから、怪我の防止という点でも意識するポイントになります。
大胸筋を構成している、上部、下部、内側、外側のすべてに刺激を与えられる、ダンベルフライです。基本的にはフラットベンチを使用して行いますが、ストレッチマットがあれば、自宅でも取り組む事が出来ます。
ダンベルを持ち上げる際には、大胸筋に刺激を与えられるよう、ゆっくりと意識しながら取り組みましょう。もし普段よりも効かない、と感じた場合、どこかしらのフォームが間違っている可能性が高いです。常に正しいフォームを意識して行ってください。
続いては、ダンベルフライのバリエーショントレーニングである、インクラインダンベルフライです。ダンベルプレスなどと同じく上半身を斜めにして取り組み、肩関節の水平内転のみを伴う動作を行うため、大胸筋上部に集中して負荷をかけられます。
持ち上げる動作の際、ダンベルは必ず垂直に持ち上げ、大胸筋上部へとしっかり負荷をかけるようにしましょう。肘は伸ばしすぎて負担にならないように完全には伸ばし切らず、下ろす際も同様に下ろしすぎに注意です。
インクラインの次は、デクラインのダンベルフライです。デクラインですので、頭を体よりも下の位置になる様に、上半身を斜めに傾けた状態にします。大胸筋下部に刺激が加わり、体勢が不安定な分負荷も高めです。
他よりも不安定な状態である以上、フォームはとても大切です。それが崩れてしまうほどの高い負荷はかけないようにしてください。肘は固定したまま上げ下げしますが、目安としては100度から120度にしましょう。
最後の9つ目のトレーニングは、ダンベルローテーションです。肘から手先だけではなく、腕全体を使ってダンベルを上げ下げするトレーニングになり、筋トレを始めたばかりの初心者にもやりやすいメニューです。
重要なコツは、地面から垂直にダンベルを持ち上げることです。前後左右にダンベルがブレると筋肉を傷める可能性があります。体は真っすぐを維持し、軽めのダンベルで取り組んでください。
気になるのは使うダンベルの重さについてですが、初めての方なら女性は3㎏、男性は5㎏辺りからスタートしましょう。自重でのトレーニングに慣れているのなら5㎏から10㎏、それ以上の重さのダンベルは、集中的に大胸筋を鍛えたい方向けです。
大胸筋のトレーニングは、ジムでベンチを使わなければできない事はありません。自重で行えるトレーニングもありますが、ダンベルを使う事で幅が大きく広がります。是非取り組んでみてください。