瞬発力はさまざまなスポーツで役立ちます。サッカーやバスケットボール、バレーボールなどの球技はもちろん、陸上競技の短距離走などのスポーツにも多大な好影響を与えます。今回は、そんな瞬発力を高めるためのさまざまなトレーニング方法についてご紹介します。
まずは、瞬発力とは何かについて確認しておきましょう。瞬発力はどのような時に発揮される力なのか、また瞬発力の効果とはなにかについて解説します。
瞬発力とは「瞬間的に発揮できる筋肉の力」のことです。スポーツでは速く行動できれば、相手よりも優位に立つことができます。 バスケットボールであれば、相手よりも早く行動できれば、相手からボールを奪うことができますし、相手がボールを奪う前にシュートを打つこともできます。
瞬発力を鍛えれば、スポーツのパフォーマンスは間違いなく飛躍的に向上します。瞬発力はほとんどのスポーツで必要ですが、日常生活でも必要です。例えば、危険を回避しようとするときです。 自分の身に危険なことが起こったとき、私たちは瞬発力を使ってギリギリのところで回避したり、ギリギリのところで止まったりします。瞬発力は、スポーツや日常生活に欠かせない筋力ですので、ぜひ鍛えて伸ばしてください。
瞬発力を鍛えるためには、筋肉の中でも速筋を鍛える必要があります。体内の筋肉には、速筋と遅筋の2種類があります。速筋は、大きな力を発揮するときや素早く動かすときに使われます。 軽い重量やゆっくりとした動きでトレーニングをしていると、速筋よりも遅筋を鍛えてしまうことになります。もちろん、遅筋を鍛えることは悪いことではありません。 しかし、瞬発力を高めることが目的であれば、速筋を鍛える必要があるのです。速筋の割合が高いのは、大腿直筋(太ももの前面)と上腕三頭筋(腕)で、大腿直筋が約65%、上腕三頭筋が約67%を占めています。
大腿直筋は、太ももの前面にある大腿四頭筋という筋肉を形成する中心的な筋肉です。膝を曲げたり伸ばしたりする動作にも使われるので、サッカーやバトミントンなどのスポーツ活動では必ず使われます。 上腕三頭筋は、上腕二頭筋の反対側、いわゆる二の腕に位置し、腕で物を押すときに動かされます。上腕三頭筋は腕の振り方次第でトップスピードに到達するまでの時間を大幅に短縮することができます。
瞬発力とは陸上競技でスタートダッシュするときのように、走りだけで使う筋肉ではありません。多くの方がこの点について誤解していますが、実は瞬発力にはさまざまな要素があり、たとえば、跳ぶこと、蹴ること、投げることなども瞬発力の一つです。 人間の神経伝達のスピードは、0.1秒以下にはできません。その0.1秒に少しでも近づけるためには、瞬発力を鍛える必要があるのです。瞬発力を高めることができれば、素早い動きを必要とする場面が多いスポーツでは大きなアドバンテージとなります。
短距離走や跳躍、投擲競技などでは、記録に大きな影響を与えます。瞬発力はさまざまなスポーツで武器になりますが、競技によって求められるパワーやスピードの要素は異なります。 例えば、バドミントンではパワーよりもスピードが重視され、ハンマー投げなどの投擲競技ではスピードよりもパワーが重視されます。また、スポーツをしない方でも、危険回避のためにトレーニングしておいて損は全くありません。怪我の予防にもなります。
ひとくちに瞬発力を鍛えるトレーニングといっても、さまざまな種類があります。力やスピードが発揮できる条件を考え、それに適したメニューを実践することをおすすめします。 瞬発力のメインとなるトレーニングは、「ダッシュ型」と呼ばれています。ダッシュ型の瞬発力を鍛えることで、競技中に相手よりも速く走ることができるようになったり、動き全体が速くなったりします。 ダッシュトレーニングには「バウンディング」「ラダー」「ウォーキングランジ」の3種類があります。瞬発力の源であるダッシュトレーニングの次に重要なのがウエイトトレーニングです。
ウエイトトレーニングは、ジャンプ力を鍛えたい方におすすめです。ジャンプするときも瞬発力を使います。また、高く跳ぶことも必要です。 高く、そして「速く」跳ぶことができれば、周りに差をつけることができるでしょう。ウェイトトレーニングでは、ボックスジャンプ、デプスジャンプ、クリーン、スクワットなどのトレーニングがあります。
それでは、瞬発力を高めるためのダッシュトレーニングについて詳しく見ていきましょう。それぞれのトレーニングの特徴や正しい方法を学んで、自分のトレーニングに取り入れてください。
このトレーニングのポイントは、ジャンプするように膝を前に出して走ることです。多少やり過ぎだと思うぐらいよく手を振るようにしましょう。距離は20~30メートルが目安で、2〜10セットを前後に繰り返すのがおすすめです。 弾むために重要なのは、歩幅です。歩幅が広すぎると、膝が伸びきってしまい、あまり効果が得られません。また、片足を体に近づけ、もう片方の足を地面につけてトレーニングすると、かかとから着地することがなくなり、効率よくトレーニングができます。
ラダートレーニングとは、ラダーを使ったトレーニングのことです。布や糸で作られたラダーを地面に置き、それを踏まないように素早く歩を進めます。 トレーニングによって、ステップを踏む・跳ぶ・走るのような動作を行います。ストレートジャンプ、開閉ジャンプ、ジャンプカットなどのメニューを組み合わせてトレーニングしていきましょう。
ラダートレーニングで気をつけることは、スピードよりも正確さです。速さと正確さを両立させるためには、まずしっかりと地面を踏むことを意識します。 このトレーニングの強度は筋肉に負担をかけすぎることはありませんが、他の筋トレをする時間を確保するためにも、自分にとって無理のない周回数を決めておきましょう。
ウォーキングランジの方法も見てみましょう。ウォーキングランジとは、大きな一歩を踏み出すときに、体を深く沈めることを繰り返しながら歩くトレーニングです。比較的簡単に実践できるので、気軽にトレーニングできます。 注意点としては、深く沈むときは、踏み出した足の反対側の足の膝が地面につきそうになるまで体を沈めます。そして、大きく踏み出した足は、かかとが先に地面につくようにしましょう。 ウォーキングランジは、走らずに負荷をかけて行うことができるので、運動に自信のない方や高齢者にもおすすめのトレーニングです。散歩やちょっとしたお出かけの際に簡単にできるので、少しずつ試してみてください。
瞬発力の主な源であるダッシュ系の次に重要なのが、ウエイトトレーニング系です。今回ご紹介するトレーニングは、瞬発力だけでなく、ジャンプ力も鍛えることができますので、ぜひチャレンジしてみてください。
このトレーニングは、台などの段差のある場所で、両足でジャンプし、両足で台に着地することを繰り返すものです。最初は低い台から始めて、徐々に高い台にしていきましょう。 ここで注意したいのは、繰り返しジャンプしていると疲れてしまい、ジャンプ力が低下してしまうことです。疲れてきたなと思ったら、休憩しましょう。
まずは足を肩幅に開き、足の先を少し外側に向けて基本的な体勢を整えます。この姿勢が作れたら、次に膝を曲げ、背筋を伸ばして息を吸いながら体を全体に下げてください。太ももが地面と平行になったところで止めてキープし、すぐに元の体勢に戻します。 一般的なスクワットと同様に、正しいフォームを維持することが非常に重要です。膝がつま先よりも前に出てしまうと、膝に余計な負担がかかってしまうので、膝を曲げるのではなく、お尻を後ろに引くイメージで行います。
デプスジャンプは、箱や台の上から飛び降りるボックスジャンプとは逆の動作です。軽く飛び降りて、すぐにその場で垂直にジャンプします。筋肉が収縮するときに瞬時に動かすので、速筋の強化に効果的です。 やり方は、まず台や箱の上の隅に、楽に跳べる程度の足幅で立ちます。その後、脱力感を持って飛び降り、地面に着地したらその場で瞬時に垂直にジャンプします。この動作を1セットとして、15回から20回程度行いましょう。
セットアップとポジショニングが完了したら、実際に最初の動作を行います。まず、「ファーストプル」は、バーベルを床から持ち上げてから、股関節まで引き上げるまでの一連の動作です。 その後「セカンドプル」では、「ジャンプ」と「シュラッグ」の動作を連続して行いながらバーベルを上半身に引き上げてください。最後の段階は肩の上部でバーベルをキャッチして終了です。
ここでは、瞬発力を高めるトレーニングに活用されている、おすすめのアイテムを3点ご紹介します。ぜひ参考にしながら必要なアイテムを手に入れましょう。
「LICLIラダー」を使用したトレーニングでは、俊敏性の向上が期待できます。足の筋肉や体のバランスが鍛えられ、マラソンやリレーなどの下半身のトレーニングにもおすすめです。 ラダー同士の接続部分はスナップボタン式なので、ワンタッチで長さの調整ができて便利ですし、本製品を複数個購入することで、何メートルでもラダーを長くすることができます。
ボックスジャンプやデプスジャンプに使用できるアイテムで、高密度のソフトフォームは、ジャンプ時に関節を保護し、継続的な運動にも使用できる硬さです。階段や硬い段差のある場所よりも、はるかに怪我のリスクが少ない状態でトレーニングを行うことができます。
「瞬発力トレーニング」はプライオメトリクスのガイドブックで、レベルの異なるアスリートたちを成功に導くために採用されてきた、94種類のプライオメトリック・エクササイズと78種類のバリエーションを詳細に解説しています。 トップアスリートやコーチ、トレーナーたちは、スポーツの総合的なパフォーマンスを向上させるために、プライオメトリクスを積極的に活用しています。本書はプライオメトリクスを取り入れて、本格的にトレーニングしたい方におすすめの一冊です。
以上、瞬発力を高めるトレーニング方法と、トレーニングにおすすめのアイテムをご紹介しました。ここで取り上げた情報を参考に、正しい方法でトレーニングを行い、誰にも負けない瞬発力を手に入れましょう。