大胸筋を鍛えるトレーニングメニューとして知られている腕立て伏せ。過去に何度か実践してみたけれど、思うように胸筋を鍛える事が出来なかった経験はありませんか?その場合、正しいフォームややり方が出来ていなかった可能性があります。今回は、大胸筋に効く正しい腕立て伏せのやり方を解説します。
腕立て伏せは、大胸筋に効く筋トレメニューとして有名であり、男性なら男らしい分厚い胸板を、女性ならバストアップを狙うことが出来ます。ところが、実際に取り組んでみたけれど効果が出なかった、という場合には、大きく分けて3つの原因が考えられます。
1つ目は、フォームが間違ってしまっている可能性です。腕立て伏せをする際、多くの方は回数を気にすることでしょう。しかし、いくらたくさん回数を重ねたからと言って、正しいフォームで取り組んでいないのならば、効果は見込めないでしょう。 正しいフォームで腕立て伏せをすることが出来ていれば、大胸筋だけではなく、腹筋にも効果的に刺激を与えられます。胸筋、腹筋にどうにも刺激が加わっていないと感じるのであれば、今やっている腕立て伏せはフォームが間違っている可能性が高いです。 単に効果が出にくいだけではなく、全く別の部位に刺激が逃げていってしまっていたり、崩れたフォームでは思わぬ怪我につながりかねないので、早急に改善するようにしましょう。
2つ目の原因は、反動を使っていることです。腕立て伏せをする際に、体を下に降ろす反動を使って元に戻す動作を行っている場合、大胸筋に負荷をかけようとしているのではなく、毎度設定している目標の回数をクリアすることだけを意識している可能性が高いと考えられます。 毎日筋トレをしようとして、例えば一日腕立て伏せを30回こなすというような目標を立てることも多いでしょう。これを早く達成したいあまりに反動を使っていても、当然ながら大胸筋に正しく刺激が行かず、しっかり鍛えられないのです。
こうした反動を使ってトレーニングを行い、効果を薄くしてしまうことを「チーティング」と呼びます。腕立てに限らず、筋肉トレーニングにおいてチーティングは避けたいところです。時間をかけ、ゆっくりと負荷をかけることが大切です。
もう1つは、適切な負荷をかけられていないことです。自分に適した負荷をかけられていないのであれば、当然ながら大胸筋には刺激を与えられませんし、しっかり効いていない感覚しか得られないでしょう。腕立てをやっても余力がある、余裕でできるような方法では、負荷が適切とは言えません。 先に挙げた原因である、反動を利用して回数をクリアしようとしているのも、言い換えれば適切な負荷を筋肉にかけられていない訳です。フォームを矯正し正しく行う、おもりを入れたリュックを背負うなど、工夫を凝らす事で適切な負荷になり、腕立て伏せをするたびに刺激を実感できるはずです。
このように、腕立て伏せが大胸筋に効いていない場合の原因はいくつか考えられ、その元をたどると、しっかりとした負荷をかけられていないことに行きつきます。そこで、効果を発揮するための正しい腕立て伏せのコツを解説していきます。
まずは、正しいフォームを意識しながら腕立て伏せに取り組んでみましょう。フォームが正しくなかったのが原因であるのならば、それを矯正すればよいだけの話です。ポイントは3つあり、まず肩甲骨を寄せて胸を張り、大胸筋を収縮させて動かしましょう。 2つ目は、肩を落としながら腕立て伏せをすることです。腕立て伏せに取り組んでいる最中に肩を使ってしまっていると感じるのであれば、脇が開き気味で肩が上がっている状態です。床に手を付く位置が顎辺りでは高すぎますので、胸やみぞおち辺りに手を置いて取り組んでみましょう。
そしてもう1つが、体を深く降ろし、戻すときには腕を伸ばしすぎないよう意識することです。浅く体を降ろしていると上腕筋を鍛える腕立て伏せになってしまいますので、降ろす際は肘が直角になる辺りまで、戻す際は少し腕が曲がる辺りが理想的です。
次に、焦らずゆっくりと腕立て伏せをすることです。腕立て伏せに限らず、筋肉トレーニングにおいてはこのゆっくりとした動作で取り組むことが非常に重要であり、時間をかけることで筋肉に正しく負荷をかけられます。 原因の中にあった、反動を使ったチーティングなどは、早く回数をこなそうとしているあまりしっかりと筋肉に負荷をかけられていない状態です。それではノルマをクリアすることばかり考えてしまい、フォームが正しくできていません。
腕立て伏せの場合、一度に5秒程度の時間をかけるのが目安とされています。この一回当たりの時間を目安にしてゆっくりと取り組んでみれば、大胸筋、並びに腹筋に正しく負荷をかけられていると実感できるでしょう。
3つ目のコツは、筋肉の休息期間を設ける事です。筋肉トレーニングで負荷をかけた筋肉は、その後適度な時間休ませることによって以前よりも肥大し、強化されます。この仕組みの事を超回復と呼ばれています。 一般には、この超回復はトレーニングを行ってから48時間から72時間ほど設けるのが理想的と言われています。回復の時間もなく隙間を作らずにトレーニングを続けていると、どんどん負荷が蓄積されて大きな疲労感を生んでしまいます。 無理にトレーニングを続けても疲労が溜まるばかりですので、がっしりとした大胸筋を目指すのであれば、腕立て伏せを行ってから適度な休息の時間を設けてください。
腕立てと聞いて、多くの方が思い浮かべるのは、おそらくノーマルプッシュアップでしょう。実は、腕立て伏せの中にも各種の種類があり、大胸筋という大きな筋肉の部位ごとにそれぞれ効果的です。
1つ目はワイドプッシュアップです。うつ伏せで床に寝た状態から、ノーマルプッシュアップよりも肩幅1つ分程度腕を外に開いて、セットポジションを作ります。そこからゆっくりと体を降ろしていき、ギリギリになったら一度停止して元に戻ります。 このメニューは通常の腕立て伏せよりも広めに手の幅を開いて行いますので、肩の可動域が広がり、大胸筋へと効果的に刺激を届ける事が可能です。また、上腕三頭筋にも副次的に負荷をかけて、太い腕づくりに貢献してくれます。 気を付けるべきことは、足から首筋に至るまで、真っすぐのフォームを維持することです。体を降ろすときには大胸筋をしっかりと伸ばし、肘の軸をブレさせないようにしましょう。
2つ目はインクラインプッシュアップで、インクラインとは手が頭よりも高い位置に来るという意味です。その為、インクラインプッシュアップでは椅子やベンチなど、ある程度の高さがあるものを用意して行うことになります。 まずベンチなどに両手を乗せて、いつも通りの腕立て伏せの状態を取ります。足をぴったりと閉じたら準備完了で、肘をゆっくりと曲げて上体を椅子に近づけていきます。限界まで下げたところで数秒キープし、上体を元に戻す動作を繰り返します。
インクラインプッシュアップでは、上体は最大限ギリギリまで下げるのがポイントです。体を下げたら下げた分だけ、大胸筋に負荷をかけられます。体を下げる角度を変えて、少しずつ負荷と難易度を上げるトレーニング方法もあります。
3つ目はデクラインプッシュアップになります。インクラインが手を体よりも高い位置に持っていくトレーニングであったのに対して、デクラインプッシュアップはその逆で、手を体よりも低い位置につけて行います。 インクラインプッシュアップと同様に椅子やベンチを用意して、今度は足を乗せて床に両手をつきます。この状態から息を吐きつつ肘を曲げて上体を地面へと近づけていき、限界まで降ろしたら数秒キープ、息を吸いながら元に戻します。 椅子を使い、足の方を置く分角度が付きやすくなりますので、大胸筋をはじめとした周囲の筋肉に集中的に負荷をかけられます。ただしその分バランスも崩しやすいので、無理のない回数を設定しましょう。
ナロープッシュアップは、1つ目に紹介したワイドプッシュアップとは逆で、手の幅をできる限り狭くして行う腕立て伏せになります。肩幅分に足を開き、床に付ける手で人差し指と親指を使って三角形を作ります。 これがセットポジションになり、指で三角形を作った状態のまま、離さずに肘を曲げて上体をゆっくりと下に降ろしていきます。後は他と同様、床に体が付かないところまで降ろして数秒キープし、息を吸いつつ上体を戻す動作を繰り返します。 胸筋に加え、上腕三頭筋にも十分な刺激を与えられるメニューです。ただ、力が伝わりにくい体制で行いますので、フォームは必ず正しい姿勢を維持しましょう。
このように、腕立て伏せと一口に言っても、手の幅や位置などを少し変えるだけで、負荷の大きさや刺激を与えられる部位が異なります。始めたての方がいきなり手を出すのは難しいメニューもありますので、初心者向けの腕立て伏せメニューもご紹介します。
まず1つは、壁を使った腕立て伏せです。立った状態で手を床ではなく壁につけて行う腕立て伏せであり、腕の長さよりも少し幅を取って壁に体を預けます。このセットポジションの状態になったら、息をゆっくり吸いつつ肘を曲げて壁に近づき、同じく息を吐きつつ上体を戻す動作を繰り返します。 軽めのトレーニングではありますが、上腕筋や大胸筋、三角筋などにしっかり刺激を与えられるメニューであることに変わりありません。2日連続は避けて、10回から15回1セットの一日2セットを週2回目標にして取り組みます。
もう1つは膝つき腕立て伏せです。名前の通り、床に手と膝をついて行う腕立て伏せで、膝はつけますが足は浮かせます。そこからひじを曲げて、胸が地面に付くくらいまで上体を降ろしていき、一瞬キープしたら体を持ち上げる動作を繰り返します。 膝を地面につけられる分、初心者や女性の方でも始めやすい腕立て伏せのトレーニングになっています。負荷は壁腕立て伏せと同様軽めではありますが、継続する事で腕や胸筋の筋肉に刺激が加わっている事を実感できるでしょう。
どんなトレーニングにも言えることですが、自分の筋力などに合わせた負荷でできるトレーニングを実践する事がとても大切です。最後に、腕立て伏せトレーニングで役に立つおすすめの筋トレグッズをご紹介します。
アディダス製のプッシュアップバーになります。手で持つグリップ部分と床に接触する部分に滑り止めの加工が施されており、しっかりと手を固定した状態で腕立て伏せに取り組めます。通常のノーマルプッシュアップや、ワイドプッシュアップなどに役立てられるでしょう。
ラカルのパワージャケットは、おもり付きのウェイトベストになります。腕立て伏せに使う場合には、普段着に加えてこのジャケットを着こむことで着るおもりとして重量がプラスされ、単純に通常時よりも高い負荷と刺激をかけられるようになります。 ジャケットの総重量は5.4㎏と重すぎないレベルなので、初心者にも適しています。
反射ベルトや小物入れポケットなども付属しており、ランニングなどの有酸素運動にも使えます。
ジムでも見かけることの多い、サスペンショントレーナーです。一見腕立て伏せとは関係なさそうに見えますが、柱などの頑丈な場所に固定し、持ち手の部分を両手でつかむか、足の甲を乗せる事で役立ってくれます。
サスペンションの高さももちろん調整が可能となっていますので、インクラインプッシュアップやデクラインプッシュアップもこのサスペンションがあればどこでも行えます。
実はバランスボールも腕立て伏せに使う事が出来ます。滑り止めデザインですので、肘をついて使えば椅子やベンチ代わりとなり、インクラインプッシュアップを行えます。他のエクササイズや筋トレにも幅広く利用できます。
バランスボールと同じように、腕立て伏せの際に手をつけて使えるアイテムです。平坦な地面に手をつくよりも不安定になりますので、筋肉に加えて体幹の強化も狙えます。バランスボールよりもコンパクトで、場所を取りません。
何処でも簡単にできる腕立て伏せも、小さなコツを意識して取り組むだけで、成果がしっかりと筋肉に現れてくるはずです。本記事でご紹介した参考に、正しいフォーム、正しい負荷のかけ方を実践して、理想的な大胸筋を手に入れましょう!